【特集】愛知・瀬戸市出身 藤井聡太七冠 新年の抱負「おもしろい局面に出会えるように1局1局集中して考えていきたい。振り返ったときに充実した1年と思えるように」
Q.2024年を振り返って
「2024年は本当に戦型選択などこれまでとちょっと違った形を試してみたりとあったんですけれど、そうですね。ともかく結果としては叡王戦で失冠をしてしまったり、結果の面では奮わないというところもあって課題が残った1年だったかなというふうに思っています。結果が奮わないという表現をしたんですけど、それは決してたまたま結果が奮わなかったということでもなくて、内容的にも全体として良くは無かったかなと感じているので。結果の重みというのは棋士としてやっている以上、常にあるんですけど、短期的には良いときもあれば悪いときもある、そういった調子というか波のようなものがある程度は出てきてしまう。そういった中でも、全体的な対局の内容を底上げしていくようなことは出来ると思っているので、2024年結果と内容の両面でも課題が残ったかなと」
Q.去年の将棋の指し方に変化は
「これまでとは少し違った形を公式戦で試してみようというのは考えていたことではありました。その背景としては、最近では特に後手番が苦戦するという傾向が私の対局であるかなと感じていたので。その作戦と言った面でも少しずつ幅を広げられればということは考えていました。ここまでとしてはそういった所も含めてあまりうまくはいっていないかなというのは正直なところではなるんですけど、将棋の幅を広げるというのは、長期的に見ても求められることかなと思っているので、引き続き取り組んでいきたいと思います」
Q.去年の挑戦者について感じたこと
「全体として序盤から戦型が多様化してきているというところはあって、2024年のタイトル戦もこれまでと比べると、いろいろな戦型の将棋があったのかなと感じています。そういった中で私自身が経験不足であったり、理解不足というところも少なからずあったので、やっぱり全体的な形勢判断力というのをより高めていく必要があるのかなと感じました。2024年は棋王戦と叡王戦の二つのタイトル戦で同世代の伊藤叡王と対局したということもありましたし、将棋界全体としても、やはり私と同世代だったり、私より若い世代の方というのが活躍しているのかなという感じを受けています。なんとなくですけど、世代毎に将棋感というか指し手の特徴みたいなものもある程度あるのかなという感じもしますし、そういった点では、私より若い世代の棋士の方がどういった将棋を指されるのかというのは今後も注目して見ていきたいと思っています」
Q.タイトル戦続きだった2024年
「2024年は防衛戦が続くという1年にはなって、2023年までと比べると、日程があらかじめわかっているという状況ではあったので、それぞれの対局に合わせて準備をしていくという感じで臨んでいました。タイトル戦といっても、タイトルホルダーか挑戦者かというのは開幕してしまえばあまりその立場の違いというのは影響しないと思っているので、その点に関しては2023年までと変わらずという感じではあったんですけど、2024年はやはりその全体として振り返ってみると、対局の方は結果やあるいは内容も含めて波が出てしまったかなというところは感じているので、そういった波をできるだけ小さくしたいという所も今後意識していきたいことかなと思っています」
Q.最も印象に残った対局
「印象に残った対局というと、棋王戦の第1局伊藤さんとの持将棋になったんですけど、私はこれまでは公式戦では持将棋がなくて初めてだったということもありますし、また伊藤さんの方が持将棋になることも含めて研究されていたということで印象的な1局でした」
Q.将棋以外の過ごし方
「2024年の記念品でフィットネスバイクをいただいて、少し自宅でそれを漕いで運動してみたりということはあるんですけど、意識して運動しないとそういった機会が限られてしまうかなというふうにも思っているので、引き続き運動するということも意識して過ごしていきたいなと思っています」
Q.賞金の使い道
「今年は特に大きい買い物というのは、私自身はしていないと思います」
Q.杉本師匠のお年玉
「2024年もらったかどうかというのは覚えていないんですけど、師匠の方もおそらくそろそろ終わりにしたいと思っているんじゃないかと思うので、そろそろ阿吽(あうん)の呼吸で終わるんじゃないかと」
Q.対局以外のイベント
「将棋以外でも2024年はいろいろな仕事などもいただいて、私自身も普段だと、なかなか体験できない経験できないようなこともあったりしたので、将棋以外にもいろいろな経験ができた1年かなと思っています。2024年11月にイベントで私の出身の效範小学校を訪ねるという機会があって、卒業以来ということになるので、懐かしさもありましたし、子どもたちに私の思っている以上に歓迎というか、喜んでもらった感じもしているので、こちらもすごくうれしく思いました」
Q.叡王奪還については
「叡王戦のトーナメントおそらく1月ぐらいから始まることになると思うんですけど、今の時点ですと、叡王戦の挑戦であったりそういったことは具体的な目標として意識をしているということは無いんですけど、2024年の五番勝負でも私自身の実力不足を感じるところはあったので、それを改善した先にそういった所が見えてくるのかなと考えています」
Q.過去に25歳が自身のピークと答えたことについて
「ピークというのがはっきりと明らかな形で出るというのは思っていないんですけど、全体として25歳とかそのあたりがピークか、それに近い形になるのかなとは変わらず思っています。私自身も今が22歳ということで、やはり25歳というところに近づいているのかなとは思うので」
Q.今年の抱負は
「未知の局面に対する対応力はもっと高めていきたいと思っていますし、その上で対局の中でよりおもしろい局面に出会えるように、1局1局集中して考えていきたい。戦型の面でも少しずつ幅を広げていければなと考えています。振り返ったときに充実した1年だったと思えるようにしっかりと取り組んでいきたいと思っています」