300年以上続く伝統行事に訪れた変革 「奉納子ども相撲」で女児が初めて土俵の上で相撲の取組 三重・多気町
毎年、奉納相撲は地元の西池上自治会が主催していますが、少子化で参加者が減少。
幼児から小学6年生までの男児の参加者は16人。西池上地区からの小学生以上の男児の参加者は6人で、隣接する東池上地区の男児らのほか、帰省していた西池上地区出身者の男児が加わりました。しかし男児の参加だけでは、行事の存続が難しくなっていました。
そこで今回、女児15人が参加し、行事が始まって以来、初めて女児が伝統ある土俵に上がりました。これまでにも住民の要望を受けて女児の参加はあったということですが、女児の取組は男児の場合とは異なりブルーシートが敷かれた上で、手押し相撲の形式で実施されてきました。
しかし少子化により男児のみでの奉納相撲の存続が難しくなり、自治会長の谷村朗さんは、今年7月から自治会での打ち合わせを10回以上行ったり、保護者も交えた話し合いも重ねたりと協議を続けてきました。その結果、今年度の奉納相撲には女子も土俵に上がれることになりました。
小学生以下の幼児は男女混合で取組を実施。小学生の部は男女別で、女児は片足立ちで押し合う「ケンケン相撲」で行われました。
出場した女の子は「やってみたら、土俵の上での相撲は楽しかった」と振り返りました。
地域の年配の住民からの反応も良好で、谷村会長は「儀式や儀礼が男性しかダメという意識は地域でも薄れてきていて、時代に合わせて伝統も変わっていく必要があるのでは」と話しています。
奉納相撲は江戸時代の1712年ごろから始まり、寺院にまつられている元三大師が鬼の姿に変身して疫病神を追い払ったとの伝承から、厄除けを願って続けられてきました。戦後の一時期は青年団も参加していましたが地域活動は衰退し、しだいに形を変えて「奉納子ども相撲」として、米の収穫を終えた10月に開かれるようになったということです。