400年続いてきた名古屋古流凧が存続の危機 技術者が高齢化と共に減少 名古屋市
名古屋古流凧は、虫の羽音のような音を響かせて宙に舞い上がります。アブやセミなどの昆虫を模したたこのほか、左右に本体を振りながら揚がる「ベカ」などがあります。全長は30センチから90センチまでの小型が主体ですが、10センチほどのものもあるということです。
日本の凧の会東海支部によりますと、古流凧は、江戸時代初期の寛永年間(1624~44年)に、名古屋の武家のあいだで始まった遊びとして広まったということです。一般的なたこと比べ、強風下でも揚がる屈強さが特徴です。
屈強さには、使われている素材に理由があります。かやぶきの屋根の下地として100年から150年の長期にわたり乾燥させて作り出した煤(すす)竹を用いているのです。これを火で熱して曲げ、左右対称に寸分の違いもなく組み上げます。数ミリでも狂いがあれば、たこはうまく揚がらないといいます。
同支部では、残っている資料から試行錯誤しながらそれぞれ手作業で20種類のたこを復元しました。しかし、技術の習得者の高齢化が進み、最年少の永田さんでも76歳。その上、習得者の人数も9人となり、古流凧は存続の危機に直面しています。
永田さんは「ぜひ青空を舞う名古屋古流凧を実際に見に来て、伝統の存続のためにたこづくりに加わってほしい」と呼びかけていて、会の仲間と共に月に2回、庄内川が流れる傍らにある西枇杷島緑地(愛知・清須市)で古流凧を揚げています。