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「外に出たい!…うそです」"頂き女子りりちゃん"獄中からSNS発信

2024年8月7日 19:31
「外に出たい!…うそです」"頂き女子りりちゃん"獄中からSNS発信

2024年8月7日、法廷で謝罪を口にした渡辺真衣被告。謝罪の言葉を述べる彼女が着用していたのは、ファンから“差し入れ”されたという犬のTシャツだった。連日、さまざまな人々から接見の申し込みや差し入れが相次いでいるという渡辺被告。さらに、彼女がSNSで発信している「ごくちゅうにっき」のフォロワー数は、30万人近くまで膨れ上がっていた。

「外出たいー!やだー!…いや、うそです」

「被害者の人に対してどう思っていますか?」という質問に対して、「純粋な恋心を操って悪いことをして、本当に申し訳なかったと思います」と、法廷で謝罪の言葉を述べた女性。

自らを"頂き女子りりちゃん"と名乗る、渡辺真衣被告、26歳だ。

マッチングアプリなどで知り合った男性らに恋愛感情を抱かせ、現金をだまし取った詐欺の罪などに問われており、だまし取ったとされる金額は1億5000万円以上。

金をだまし取ることを“頂く”と呼び、そのテクニックをマニュアルにまとめていた渡辺被告。マニュアルでは、ターゲットの男性を“おぢ”と呼び、金を出させるための会話の流れやテクニックを伝えていた。

今年4月22日、名古屋地裁は、「被害者らの男性心理を手玉に取り、その好意につけ込む狡猾な犯行」「意中のホストのために犯行に及んだ動機は身勝手」などとして、渡辺被告に懲役9年・罰金800万円を言い渡した。

判決について、「罰金は無しにして懲役20年・30年は無理だとしても、懲役15年は私はくらってほしいですね。許しません」と憤りをみせるのは、渡辺被告にお金をだまし取られた被害男性。渡辺被告のために、生命保険や定期預金などを解約したという被害男性は、それ以上の処罰感情を抱え続けている。

2024年7月、言い渡された判決について、「え!9年なのー!やったー!って思いました」「実はもっと長いって弁護士さんに言われて、ハードルが低くなってたから」と、接見に訪れた中京テレビの記者に語った渡辺被告。

しかし、話が進むにつれて、「でも、出る頃には35歳ですね…。本当は20代のうちに外出たいーー!やだーー!…いや、うそです」と話し、接見の終盤には、「少しでも刑が軽くなってほしい」と口にした。

フォロワー約30万人「ごくちゅうにっき」

2024年8月7日午前10時。弁護士は一審の判決に不服申し立てを行い、名古屋高裁にて控訴審が始まった。

傍聴には東京から訪れた人の姿も。訪れた理由を尋ねると、「ネットとかで話題になっているのをよく見る」「“ごくちゅうにっき”を見た。明るい感じの性格だなって、ひきつけられる子だなって」など、さまざまな答えが。

傍聴にきた人が口にした「ごくちゅうにっき」。それは、渡辺被告が一審のときからXで発信している日記だ。

「ごくちゅう267日目 今日はじめて大浴場だった!足のばしてじゃぷんじゃぷん 波つくれて幸せすぎた!!」(※「ごくちゅうにっき」Xより一部抜粋)

「ごくちゅう274日目 朝飯:おみそ汁の具に 多分じゃがいも入ってて うれしかったよ」
(※「ごくちゅうにっき」Xより一部抜粋)

など、協力者管理のもと様々な内容を、渡辺被告が投稿している。

別の日の投稿では、

「去年8月23日、私は手錠されて、おまわりさんの1人に「これから愛知に向かうからね」と言われた。歌舞伎町から離れたところに行くって無理なんだけど。歌舞伎町、私が初めて信じられた町。ここで私たくさん詐欺して大好きな人にほめてもらうの。私はもう生きてるのか死んでるのかわかんなかった」

と綴っていた。

拘置所内でのできごとから逮捕された当日のことまで、詳細にかかれた「ごくちゅうにっき」。今や、そのアカウントのフォロワー数は、30万人近くまで膨れ上がっていた。

やわらかい表情、“犬のTシャツ”で出廷

中京テレビ記者のが接見の際、「控訴審に向けて考えていることはありますか?」と質問すると、「ファンの子からもらった犬の服をちゃんと着れるために、ダイエットがんばってます!」と明るい表情で答えた渡辺被告。

一方で、「前の裁判(判決)では空気感に耐えられなかった」「(傍聴席の)全員こっち見てんじゃねーよ!って思った」と、判決時の心境を吐露する場面も。しかし、続けて「…うそ、本当は見られるのが大好きです」と答えていた。

2024年8月7日、名古屋高裁で開かれた控訴審の初公判。渡辺被告は、記者に話した通り“犬のTシャツ”を着て出廷。一審のときと比べ、やわらかい表情をしていた。

弁護側は一審の判決に対し、「量刑不当」を主張。しかし、検察側は、控訴理由がなく、棄却が相当と主張した。

その後の被告人質問で、被害者への謝罪を改めて口にした渡辺被告。そして、自身の現在の生活について、「私は拘置所の生活にすごく助けられていて、外にいるときより、今の方が心が安定していて、職員さんとか見守ってくれている人がいるし、前より未来が明るくなっている。(拘置所に)入れたことに感謝している」と涙ながらに語った。

初公判の終盤、検察による被害者の意見陳述では、「被告人には全額返済してほしい」など読み上げられ、即日結審をしていた。

被害者より丁寧?ファンへの対応

渡辺被告に4回接見し取材を続けてきた、中京テレビの記者は、彼女の接見時の様子について、「裁判のときは暗い印象だが、接見のときはとても元気でニコニコしている。接見したいと思っても、なかなか会えない」と明かす。

1日1人とされている「接見」。しかし、渡辺被告の接見には、記者だけでなく、ありとあらゆる層から申し込みが相次いでいるのだ。彼女が接見した相手には、報道関係者だけでなく、友だち、支援者、なかには彼女が“知らない人”も。さらに、渡辺被告の“ファン”からは、現金3万円やお菓子などの差し入れもあったという。

「ごくちゅうにっき」のフォロワーが約30万人となった渡辺被告だが、1億5000万円もの金額をだましとったとされていることも事実だ。被害者のなかには、保険を解約したことから、「重い病気になったら、治療費払えないから、自殺するしかない」と話す人もいる。

この事実を、渡辺被告はどのように受け止めているのか。

控訴審の被告人質問の際、検察側から「起訴された3人に弁償は?」と尋ねられると、「していません」と答えた渡辺被告。続けて、「被害者からの手紙に返事は書いたのか?」という質問には「来たけど書いてません」と返答、「SNSで被害者への気持ちを伝えたことは?」という質問には、「ないです」と答えた。

渡辺被告の言い分としては、“文章で謝罪をしても意味がない”としており、「お金を返すのが一番の謝罪だと思うから返事はしなかった」ということだった。しかし、ファンから届く大量の手紙には、少しずつ返していると明かした。

被害者への弁済や、手紙やSNSでの謝罪は行わない一方で、“ファン”には手紙を返信するなどの対応をみせる渡辺被告。両者への対応の違いに、「本当に反省しているのか」という疑問が生まれざる得ない。

"頂き女子りりちゃん"こと、渡辺真衣被告の控訴審の判決は、9月30日に下される。

中京テレビのニュース