最短15分から働けるカフェ「ワンぽてぃと」 不登校やひきこもりで思い悩む若者たちを支援する場に 愛知・春日井市
実社会への一歩を踏み出せず生きづらさを抱える若者たちの居場所となるように・・・。小栗加奈さん(48)が運営するカフェ「ワンぽてぃと」が、2022年5月にオープンしてから2年半が経ちました。
自分が都合の良い時間に最短15分から働けるというカフェ「ワンぽてぃと」。カフェの名前の由来は、看板犬のオリバーくんにちなんだ「ワン」と、サツマイモやジャガイモなどを使ったポテト料理をメインに提供することに由来した「ぽてぃと」。
ここで働いた後に巣立っていった若者たちは、オープンしてから2年間で13人となりました。
2023年3月に内閣府が公表した22年度「こども・若者の意識と生活に関する調査」によると、社会的自立に至っていない「ひきこもり」に該当する当事者は約146万人。
小栗さんがこのカフェを開いたきっかけは、小学5年生だった三女が不登校になり、同じような境遇で思い悩む若者たちが多いことを知ったことでした。もっと気楽に通学したり働いたりできる居場所があれば、思い悩む人たちが一歩を踏み出せるのでは・・・。
そこで社会復帰するためのトレーニングの場所になればと考え、2年半前に「ワンぽてぃと」をオープン。好きな時に来て働く、最短15分間の“超”フレックス制。
働く人に求めるのは、前向きな気持ち。
カフェでは従業員にストレスを与えないように配慮、髪色やピアス、ネイルや服装なども自由です。履歴書は不要で、いま、ここで働きたいという気持ちを重要視しています。
ただ、小栗さんは「ここは福祉施設ではなく、どこにでもあるカフェレストラン」と話します。
「支援する側、支援される側という立場の違いを設けず、希望者は一般の雇用者と同じ内容の仕事をすること」が原則で、行政から補助金は受けとっていません。
そのため、現在は賃金を支払えるのは2人までですが、今後は雇用拡大を目指しお弁当作りにも乗り出す予定です。
カフェは「働く場所」の提供だけではありません。当事者の母親が現状の悩みを互いに打ち明ける「お母さんの会」なども定期的に開催されているといいます。
小栗さんは「思い悩む若者たちをサポートする場を、多くの人たちを巻き込んでつくっていきたい」と話しています。