【大雨から10か月】座席には泥 図書館にはカビ 浸水したホールの復旧どうなる 福岡・久留米市
沖縄地方などではすでに梅雨入りが発表されるなど、ことしも雨の季節が近づいています。福岡県久留米市では大雨から10か月がたった今も被害の爪痕が残り、地域住民が一日でも早い復旧を望んでいます。
23日午前、久留米市田主丸町の住民たちが原口市長に対し、要望書と地域住民を中心とした9199人分の署名を手渡しました。
■水縄地区まちづくり振興会・田中博輝会長
「有意義な施設が被災したまま凍結している状態では市民の幸福追求の精神はすたれ、地域の振興に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。 」
被災からおよそ10か月。今なお手つかずのままになっている久留米市田主丸町の複合文化施設「そよ風ホール」のいち早い復旧を望んでいます。
去年7月、九州北部を襲った大雨。大雨特別警報が発表された久留米市田主丸町では、大規模な土石流により男性1人の命が奪われるなど甚大な被害をもたらしました。
「そよ風ホール」も被災しました。
■久留米市田主丸総合支所 文化スポーツ課・深町豪課長
「床材が木でできているので(浸水で)盛り上がって今のところ使用ができない状況。」
そよ風ホールの中にある文化ホールは、成人式や学校行事など多くの人が集う場所となっていました。
客席部分まで浸水し、座席には今も泥が付いたままです。被害に遭ったあの日から、復旧作業はほとんど行われていません。いったいなぜなのでしょうか。
■深町課長
「施設全体が豪雨災害で被害に遭うのが久留米市として初めてだった。施設全体をどうやって修復していけばいいかが非常に難しい。」
そよかぜホールには図書館もあります。およそ10万冊の本があり、2022年度には2万2000人近くの人に本を貸し出していました。
本のほとんどは市内の別の施設に移されたものの、床は波打ち、本棚にはカビが発生しています。倒れたままの本棚もあります。
■深町課長
「地域の皆さまからは復旧を急いでほしいという要望をいただく。丁寧に確実に仕事を進めていかなくてはいけないという部分と、一日でも早く応えなくてはいけないという両方があるので、そこはもどかしいです。」
再開を目指し、久留米市は今年度の予算案にそよ風ホールの被害の「調査費用」を盛り込みました。しかし、調査を終えてから復旧工事の計画を立て、その後、工事が行われるため、再開のめどは今もたっていません。
23日、市民からの要望書を受け取った原口市長は「必ず復旧させる」とした上で、費用の面も含め復旧には時間がかかるとの認識を示しました。
■要望書を手渡した水縄地区まちづくり振興会・田中博輝会長
「心の支え、シンボルだと思っています。早期復旧して、皆さんが自由に利用できるようにしてほしい。」
爪痕が残る中、大雨の季節が迫ります。市民からは、いち早い復旧を望む声が日増しに強くなっています。