【飲酒運転撲滅】記者が酒を飲んで運転を体験 コーンに接触して引きずる 何度も脱輪「異常な状態に気づかず」福岡
福岡市の海の中道大橋で3人の子どもの命が奪われた飲酒運転事故から、まもなく18年です。実際に飲酒運転を体験することで、危険性を実感してもらおうという講習会が開かれました。
基準値の3倍のアルコール
福岡県筑紫野市の自動車学校で20日、体験型の講習会が開かれました。酒を飲んで車を運転するとどうなるのか、普段の運転との違いを知ってもらおうと、筑紫野警察署が企画したものです。
講習会にはFBSの記者も参加しました。
■白野寛太記者
「それでは酒を飲んでいきます。」
1時間で、350ミリリットルの缶ビール4本とハイボール缶1本を飲み干しました。飲み終えてすぐに、呼気に含まれるアルコールを計測しました。
■警察官
「0.46です。基準値が0.15なので、3倍です。」
呼気からは、酒気帯び運転となる基準値の3倍を超えるアルコールが検出されました。
コーンを押しつぶすも気づかず
■白野記者
「顔は赤いと思いますが、運転はできる気がします。」
この状態で運転するとどうなるのか、自動車学校のコースを一周します。
コーンとコーンの間を蛇行するスラロームでは、コーンを押しつぶしてしまいますが、接触したことに気づかず運転を続け、コーンを引きずってしまいました。
さらにS字カーブでは曲がりきれず、何度も脱輪します。やり直すためバックしようとしますが、ギアがバックに入っていないのにアクセルを踏んでしまう場面もありました。
■白野記者
「飲酒して気持ちが大きくなっているというのがあるのかなと思います。運転する前はできると思っていたのですが、いざやってみるとできない。自分が異常な状態にあることに気づいてないということに驚きました。」
■筑紫野自動車学校・下田真一さん
「飲酒をしていると、接触していることにすら気づかない。 それが当て逃げ、ひき逃げになる要因の一つになるのでは。」
「撲滅」には遠く
2006年8月25日、福岡市東区の海の中道大橋で、3人の子どもの命が奪われた飲酒運転事故から、ことしで18年です。
事故があった2006年、福岡県警が検挙した飲酒運転は5054件に上り、その後は減少傾向となっていました。しかし、2021年を境に再び増加に転じています。ことしは7月までに884件と、去年の同じ時期より1件増えていて、撲滅にはほど遠い現状です。
通報は「県民の義務」
■筑紫野警察署・前島雅一 交通課長
「飲酒運転は絶対にしない・させない・許さない・見逃さない、という意識を一人一人に持っていただきたい。」
2020年に改正された福岡県の飲酒運転撲滅条例では、飲酒運転を目撃した際の警察への通報を「県民の義務」と定めています。
警察は「飲酒運転を見かけた際には迷わず110番通報をしてほしい」と呼びかけています。