特集「キャッチ」社会人ラグビー「ルリーロ福岡」最高峰リーグワン参入決定で代表走る!15人の選手も加入 新たなステージへ
2年前、福岡県うきは市に誕生した、社会人ラグビーチーム「ルリーロ福岡」。母体となる企業は持たず、行政や地域からの支援をもとに運営している、全国的にも珍しいチームです。
メンバーは、ほかのチームから移籍した選手や、廃部や休部になったトップレベルのチームから加入した選手です。
■2チームで廃部と休部を経験
八文字(やつもんじ)雅和選手(30)
「僕がコカ・コーラとかサニックスとか結構歴史あるチームの最後のメンバーだったこともあって、今度は歴史を終わらせる側じゃなくて、つくる側の人間になりたいなと思って。」
選手は全員、うきは市周辺に移住し、それぞれの職場で働きながら練習を続けてきました。
そして、ことし1月。
■うきは市役所での発表
「ルリーロ福岡のリーグワン参入が決定いたしました。」
これまでの戦績や財務状況などの審査を通過し、ラグビーの国内最高峰、リーグワンに参入することになったのです。
■ルリーロ福岡 代表・島川大輝さん(40)
「掲げていた計画通りにはなった。皆さんのたくさんの支えのおかげ。」
協賛企業やファンに感謝を伝えたのは、チーム運営を担う代表の島川大輝さん(40)です。また新たな挑戦が始まりました。
リーグワン参入決定から3か月。
■島川さん
「来季もお願いしますということと、まずはここまで応援してくださったことの感謝を伝えにきました。」
この日訪ねたのは、うきは市に隣接する久留米市のパートナー企業です。
チーム運営に必要な協賛金は、これまでも島川さんや選手自ら営業を行って集めてきました。
島川さんのスケジュールを見せてもらいました。
■島川さん
「対外的なミーティングや営業で、多い日は10以上の商談があります。」
島川さんは久留米市のアーケード街を訪れました。
■島川さん
「ラグビーチーム、ルリーロ福岡の島川です。よろしくお願いします。」
これまでは地域リーグに参加し、福岡県内を中心に試合を重ねてきたルリーロ。リーグワンに参入すれば全国各地への遠征費も増えることになり、年間の運営費はこれまでの4倍にあたる、およそ3億円に上る見通しです。
それでも、代表自らが汗をかき、多くの個人やパートナー企業に支援を仰ぐ理由は。
■島川さん
「1社の大きな支援があるというのは、今回、福岡も大きな企業がチームを廃部や休部することがあったので、それを考えるとある意味恵まれていたんだろうけど、同時にリスクでもあったと思う。ルリーロの場合は、広く支援してもらうことでリスク自体を分散する状態をつくっているし、広く応援してくれる地域の方々が集まっていくモデルになっている。」
選手たちもこの2年、ルリーロを支えてくれる地域のために力を尽くしてきました。
うきは市の高木市長は、ある場面での選手の活躍が忘れられないといいます。
■うきは市・高木典雄市長
「去年7月10日に記録的な大雨でうきは市も甚大な被害が発生したが、ある集落で水路にたまった土砂を重機ではなかなか撤去できなくて、それを皆さんが短時間にやり遂げてくれた。地元に足をつけた活動をしていただいて、我々にはなくてはならない存在。」
5月1日、福岡市で島川さんが話していたのは、東京で不動産業などを営む男性です。
■島川さん
「ネイビーと黄色で目立ちそう。めっちゃいいじゃないですか。」
■ジャパン・プロパティーズ CEO・高 将司さん(39)
「いいですよね。それがいいかなって。」
島川さんの思いに賛同して新たにルリーロを支援することになり、ユニフォームの胸に会社のロゴマークを入れるトップスポンサーとなりました。
■高さん
「ラグビーはほとんどが大企業(の運営)。そこに立ち向かっていくというストーリー性があって、すごくいい。僕もスポーツをやっていたので、スポーツで地方創生していく新しいモデルだと思うし、そこに賛同した。」
ルリーロ福岡にはこの春、新たに15人の選手が加入しました。その中には、チームの練習拠点となっている浮羽究真館高校の出身者もいます。
■浮羽究真館高校出身 上村遼太郎選手(22)
「また帰ってこられてうれしい。僕が今までずっとやってきたラグビー人生の中でもチャレンジがたくさんあった。似ている部分があり共感して入団した。」
56人になったメンバーで、12月に開幕する来季リーグワンに臨みます。
■島川さん
「チャレンジしたいと思ったときにいつでも迎え入れるようなチームでありたいし、そういう地域でありたい、そういう会社でありたい。そこに向かって私もチャレンジしていこうと思っている。潰れるわけにはいかないので。つくったからには。」
うきは市からさらなる高みを目指して。瑠璃色の戦士たちの新たな挑戦が始まっています。