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【旦過市場】「角打ち文化の象徴」戦前から続く立ち飲み店が仮設店舗でオープン 開店直後さっそく常連客が 再整備のため立ち退き…再出発 北九州市

2024年10月7日 19:43
【旦過市場】「角打ち文化の象徴」戦前から続く立ち飲み店が仮設店舗でオープン 開店直後さっそく常連客が 再整備のため立ち退き…再出発 北九州市
「角打ち文化の象徴」が移転オープン

7日、北九州市小倉北区の旦過地区の一角に、立ち飲み店がオープンしました。戦前から続く元の店は、旦過市場の再整備で立ち退きを余儀なくされましたが、店主は旦過市場に再びにぎわいが戻る日に期待を寄せています。

北九州市小倉北区の旦過地区の一角にある仮設店舗でオープンしたのは、立ち飲みの店「赤壁酒店」です。

■赤壁酒店・森野敏明さん
「雨で天気が悪いし、うちっぽいスタートかなと思います。今でも複雑といえば複雑なのですが、『頑張ってね』『応援してる』『いつから開けるの』と電話がずっと鳴っていて、頑張らないといけないという思いは強まりました。」

およそ3年半前、北九州市は建物の老朽化や川が氾濫する恐れがあるなどの理由から、旦過地区の再整備の事業に着手しました。現在の建物を解体し、4階建ての商業施設を建設する計画です。

しかし、おととし4月、旦過市場一帯では大規模な火災が発生、その4か月後にもすぐ近くで再び大規模な火災が発生しました。2度の火災であわせて87の店舗が焼けました。火災の影響もあり、再整備事業は計画からおよそ1年遅れで、建物の解体に向けた準備が進んでいます。

旦過市場の立ち飲みの店として、北九州の角打ち文化を象徴する場所の1つが「赤壁酒店」です。戦前から続くレトロな空間が人気を集めていました。

■常連客
「いいですね、昭和チックで。ぜひともずっと残ってほしいですね。」
■香港からの観光客
「この店の雰囲気が大好きです。このような歴史あるお店はなかなかありません。」

2度目の火災から1年、市からの立ち退きの要請を受け、店主の森野敏明さんは悩んでいました。

■森野さん
「火災で一番強く感じたのが、日本中の方々から(寄付を受けて)旦過市場って愛されているんだなと。みんなそれだけしてくれている旦過市場を壊してしまって本当にいいんだろうか。」

資材価格の高騰などから、再整備の事業費は当初の計画と比べて13億円以上増え、およそ47億5000万円に膨れ上がりました。

市長に事業の見直しを直接相談したこともありました。

■森野さん
「旦過市場を、市長が壊したんじゃなくて、生かしながらリフォームして『ニュー旦過』にしたとなったら、市長は後世に名を残しますよ。」

しかし、悩みに悩んだ末に、森野さんが出した結論は立ち退きでした。

■森野さん
「どうしても旦過を建て替えるという話なので、反対してももうどうしようもないし、しょうがないなと、再整備のためです。」

元の店で最後の営業となった日、多くの客が訪れ、閉店を惜しみました。

■訪れた人
「寂しいですよ。新しくなったら雰囲気も変わってくるでしょうし。この雰囲気が、なかなかほかでは味わえない。」

閉店から2日、店では移転の準備が進められました。

■森野さん
「もうちょっと営業したかったという感情は、やっぱり湧いてきます。納得して出て行くわけでもないので、ちょっと悔しいです。」

移転する店は、火災後に市が整備した仮設店舗「旦過青空市場」です。この場所で再整備事業の行方を見守ることを決めました。

移転先でオープンした7日、さっそく店を訪れたのは常連客でした。

■森野さん
「本当に第1号ですよ、午前10時にオープンして。」
■常連客
「あまり中は雰囲気が変わらないので、今まで通りずっと来られて、おいしいお酒をいただけたらそれだけで十分です。」

■森野さん
「旦過市場は人情がある、温かい心があるとか、それもそうなんですけど、旦過市場ほど強烈な個性のある店主の集まりはないと思っていて、やっぱりあの魅力のある施設に、そして魅力のある店主たちが集まって、旦過市場というものになれば。」

旦過市場一帯の本格的な解体工事は10月中旬に始まります。新たに建設される施設は、2025年度中の完成を予定しています。

新たに生まれ変わる旦過市場、市民の胃袋だけでなく、心を満たす場所として生まれ変わることが期待されています。

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