【カメリポ】引き取り手のいない犬に寄り添う「穏やかで楽しい時間を」老犬介護ホームとは 福岡
年老いた犬を介護する老犬介護ホームが福岡県内にあります。飼い主から捨てられる犬を1頭でも救いたいと活動を続ける女性の姿をFBSのカメラマンが追いました。
■犬を預けに来た飼い主
「お願いします。」
福岡県古賀市の老犬介護ホーム「Azul(アスル)」は、年老いた犬の介護に特化した施設です。
■犬を預けに来た飼い主
「娘がいる関東に行く予定。(一般のペットホテルに)1週間以上預けるのは、もし病気になった時に心配なので。」
飼い主から有料で犬を預かり、排尿介護や食事補助など個々の症状に合わせて介護します。
アスル代表の小野洋子さんは長年、老犬介護に携わってきました。
■小野洋子さん
「疾患がある子の預かりが多い。一般のペットホテルでは難しい子が預けられる。」
柴犬のパッチは飼い主が急きょ入院することになり、アスルに預けられました。小野さんが用意したご飯をパッチはなかなか食べてくれません。
■小野さん
「環境が変わると、すぐご飯だけ食べる子が少ない。食べたいけど食べられない。飼い主がいないから。」
年老いた犬には粘り強い介護が求められます。
アスルでは、飼い主が預ける犬のほかに、ボランティアの一環として動物保護センターから引き取り手のない年老いた犬を引き取り、生涯寄り添う「看取りボランティア」を行っています。
横たわって動かないのは、3月に看取りボランティアとしてアスルが引き取ったタラちゃんです。
徳島県のやぶの中で動けなくなっているところを保護されましたが、引き取り手がなく殺処分させる予定でした。
■小野さん
「まだ安楽死させる状態ではない。ご飯もしっかり食べるし。骨がまだ少し出ている。歩行はできない。人間不信なところもある。」
環境省によりますと、令和4(2022)年度、飼い主に捨てられたなどの理由で、全国で殺処分された犬の数は2434頭でした。殺処分数は年々減っていますが、ゼロには遠い現状です。
小野さんは動かない足のことが気になり、タラちゃんを病院に連れてきました。
■小野さん
「こっちが全然。」
■獣医
「曲がらんしね、あんまり。」
■小野さん
「3本足で歩けないかなと思ったり。」
■獣医
「長期戦でしょうね、リハビリは。」
2024年5月、小野さんはある場所に向かっていました。この秋、年老いた犬の保護施設となる老犬シェルターの建設を計画しています。
■小野さん
「老犬の余生を過ごすことがどれだけ重要か。最期まで過ごせる施設がなかなかない。できるだけ1頭でも多く(の命を)つなぎたい。」
今の施設の2倍以上の広さがある建物にドッグランを併設し、より多くの看取りボランティアの老犬を受け入れる予定です。
動くことができないタラちゃん。
■小野さん
「関節の可動域を上げている。3本足でどうにか歩かせたい。」
小野さんは、あきらめません。そして、命と向き合い続けます。
■小野さん
「この子たちの穏やかで楽しい時間、幸せな時間、全ての面でサポートしていきたい。」
最期まで寄り添う小野さんの想いがこもった介護の日々は続きます。
※FBS福岡放送めんたいワイド2024年6月14日午後5時すぎ放送