「認知症の人に優しい広場」と「インクルーシブな子ども広場」お披露目 福岡市が整備
誰もが安心して過ごせるまちづくりの動きが福岡市で広がっています。地下鉄の駅前広場で取り入れられたのは「認知症の人にもやさしいデザイン」です。一体どんなものなのでしょうか。
福岡市西区にある地下鉄七隈線・橋本駅では、去年8月から駅前広場の再整備工事が進められ、31日、新たに運用が始まりました。
今回導入されたのは、屋外施設では国内初となる「認知症の人にもやさしいデザイン」です。
■吉原美樹 記者(身長156センチ)
「こちらの案内板は私の目線の高さにあり、わざわざ探さなくても簡単に確認することができます。」
図で表すピクトグラムが大きく表示され、歩きながら自然と目に入るようになっています。
また、歩道の色は車道と強いコントラストをつけて明るいべージュ色にするなど、ひと目で認識できる設計にしました。
■福岡市 認知症支援課・矢野邦弘 課長
「認知症・高齢者は視野が狭かったり距離感が分かりづらかったりする。見ただけで分かるようなデザインになっている。」
認知症の人も見学し、生の声を聞きました。
■認知症を患う坂田幸子さん
「うろうろするんですよ。案内(する人)がいるわけではないので。パッと見えるっていうのは、ありがたいかなと思う。」
福岡市によりますと、市内には認知症の人がおよそ4万人いるとみられていて、市はこうした取り組みを増やしていきたいとしています。
■吉村史織アナウンサー
「こちらの公園で31日お披露目されたのは、誰にでも使いやすいよう工夫された遊具のエリアです。」
百道中央公園にオープンしたのは「インクルーシブな子ども広場」です。
インクルーシブとは“包み込む”という意味で、障害の有無に関わらずのびのびと遊べる公園にしたいと福岡市が初めて整備しました。
■吉村アナウンサー
「中でもこちらの遊具は、乗り口の高さと車いすの座面が同じ高さになっているため、 車いすに乗っている人でも利用しやすい形状になっています。」
砂場にはテーブルが設置され、車いすに座ったまま砂に触れることができます。
福岡市は新たな遊び場づくりに向け、障害のある子どもの親などから意見を聞きました。
その中で生まれたのがこのエリアを囲むベンチです。
多動性の子どもの親が「遊び場に柵を付けてほしい」と意見を寄せ、エリアを分断することなく子どもたちを見守れるよう周囲を囲うようにベンチを配置しました。
■福岡市 公園部整備課・古賀佳代子 課長
「みんなが心地よく誰もが排除されない、本当の意味で来やすい公園になるといい。」
誰もが住みやすくなるように。福岡市は今後もインクルーシブなまちづくりを進めていきたいとしています。
今回、早良区に導入された「インクルーシブな子ども広場」は今後、福岡市内全ての区で整備が進められるということです。
東区の「アイランドシティ中央公園」や博多区の「東平尾公園」、中央区の「かもめ広場」などが予定されています。
市は2026年3月までに工事を終え、オープンしたいとしています。