【居座り寒波】「凍った状態」農作物の生育に影響が イチゴ農家はかさむ燃料費に悲鳴
週末まで長く居座り続ける寒波で、農作物の生育にじわじわと影響が出始めています。燃料費の高騰にも頭を悩ませていた農家からは悲鳴が上がっています。
7日、日中の最高気温が5度を割り込んだ福岡県宗像市です。
■照屋芳樹記者
「こちらの畑、ちょうど今、収穫作業が行われています。」
青々としたキャベツの収穫が行われていました。
■照屋記者
「雪の影響はありますか。」
■水上ファーム・水上拓哉さん
「今見た感じ、特にないですね。キャベツが凍ってるかなと思ったけれど意外に凍っていないので、順調に収穫できています。」
ただ、別の野菜には影響が出ていました。カリフラワーです。
■水上さん
「今回の寒波で凍って、やけどというか凍傷になった状態ですね。本来であればクリーム色というかオレンジ系の品種なのですが、茶色っぽくなっていますね。寒波の影響で。」
カリフラワーは去年12月から収穫を始め、全体の7割程度は収穫を終えているということです。肥料代や燃料代などが高騰する中、残る3割もできる限り無事に収穫したいと願っています。
■水上さん
「ことしの(残り)3割はでかいですね。その3割が収入として入ってくれば大きいので、ぜひぜひ収穫したい。」
週末の寒波で収穫作業ができなくても出荷先に野菜を納品できるように、6日と7日は普段の倍以上の野菜を収穫し、備えているといいます。ただ、積雪や路面凍結で配送ができなくなることを懸念しています。
■水上ファーム・水上真琴さん
「野菜がないと買えない方が出てくるので、それはあまりよくないので、できる限り出荷するようにしています。この前の雪は、朝どうなんだろうというのはありましたが、土曜日もわからないなと思いますね。」
一方、2日連続で明け方の最低気温が氷点下となった久留米市。地元の直売所では、ブロッコリーの入荷量が普段の半分に減っているといいます。
■みづまの駅 青果担当・下道慎吾さん
「ブロッコリーは午前中、凍っていたりするので全然収穫にはならないですね。終日、雪が降っていたりすると、なかなか厳しいかなと。」
いつもは商品を山積みにしている売り場ですが、6日は棚の隙間を埋めるように陳列していました。あるブロッコリー生産者の納品書を見せていただきました。
■下道さん
「2月2日、雪が降る前は23ですね。」
■元木寛人アナウンサー
「2月6日、きょうは14。9個減っていますね。」
生育への影響も実感しています。
■下道さん
「大根は寒さで太りが悪い。小さいと思いますね。ほうれん草も、寒いのでなかなか成長しない。丈が短いものが多いです。」
寒さの“第2波”が襲うのは、買い物客が増える週末です。不安は消えません。
■下道さん
「葉物野菜は露地で作っているので影響を受けやすい。晴れて少しでも暖かくなってくれると、商品も提供できるようになってくると思います。」
天候に左右されにくいはずのハウス栽培にも影響が出ていました。
■うるう農園・古賀智樹さん
「こちらへどうぞ。」
■元木アナウンサー
「暖かいですね。」
■古賀さん
「イチゴは春の作物なので、春の日中の気温24℃を意識しています。」
これから収穫の最盛期を迎えるイチゴは、気温が下がると生育が止まってしまうため、ハウス内の温度管理が欠かせません。47棟あるハウスの温度は夜間は6℃以上、日中は24℃程度に保つ必要がありますが、この寒さで暖房効率が悪く温度が上がらないといいます。
■元木アナウンサー
「ちなみに今は何℃くらいですか?」
■古賀さん
「今、このハウスは19.8℃になっています。寒くて暖房をたいても温度が上がりきれてない状況です。」
このため、もともと高値が続く燃料が更に必要となっています。
■古賀さん
「例年だと1週間で燃料費が50万円程度で済むところが、この寒波で今は150万円ぐらいかかるようになっているので、100万円のダメージがあります。」
シーズン当初は夏の暑さが長引いた影響で、出荷が3週間ほど遅れました。これまでの売り上げは例年の7割ほどにとどまっています。
■古賀さん
「夏も冬も作りにくい気候ですね。夏は暑い、冬は寒い。寒かったと思えばまたすぐ暑い。ちょうどいい温度帯がイチゴに適した季節ですが、その時期が年々短くなっている気がしています。」
生産者を悩ませる激しい気候変動。8日まで続く寒さに不安が募ります。