「こうのとりのゆりかご」に預けられた男性 二十歳になり迎えた成人の日に思うことは
熊本市の大学生、宮津航一さん。
■宮津航一さん
「色んな人の支えがあって20年を迎えているのかなと思うので、自分のお祝いの日でもありますけど、 感謝を伝える日でもあるのかなと思います」
ともに暮らすのは、高校2年の冬に養子縁組を結んだ家族です。
■母 みどりさん
「うれしいような、なんだかちょっと一段落したみたいな」
航一さんがこの家に来たのは3歳の時でした。
■宮津航一さん
「ゆりかごに預け入れられた時に置いてあったのが、この靴と服だけで」
慈恵病院が運営する「こうのとりのゆりかご」に預け入れられ、宮津家にやって来ました。その後、実の母親は交通事故で亡くなっていたことを知った航一さん。小学生の時に、「ゆりかご」の開設に携わった慈恵病院の元看護部長、田尻由貴子さんを訪ね、交流を続けてきました。
航一さんは、おととしから自らの経験を語る活動を続けています。
■宮津航一さん
「血縁が重んじられる中で、それだけが家族の姿じゃない。そこをしっかり嘘偽りなく話してくれた両親には感謝している」
去年11月。航一さんは二十歳の誕生日を迎えました。
「ハッピーバースデー♪おめでとう!」
この家で初めて迎えた4歳の誕生日に祝ってくれたのが、お父さんの手作りケーキでした。
■ 父 美光さん
「あの時の笑顔が素敵だったケーキを再現しました」
■宮津航一さん
「ケーキが、倍美味しいです。 父が作ってくれて、みんなが祝ってくれるから」
■母 みどりさん
「いつも一生懸命だし、頑張り屋さんだったので、 この子の成長が楽しみで、辛いことも乗り越えられたのかしら」
二十歳を迎え、強く感じる家族の絆。
■宮津航一さん
「家族が笑顔で過ごしている思い出ばっかりだなと支えられて、きょうを迎えられた」
感謝の気持ちを胸に、熊本市の「はたちの記念式典」に参加しました。将来は児童福祉の分野に進みたいという航一さん。自分と同じようにゆりかごに預け入れられた子どもたちに伝えたい思いがありました。
■宮津航一さん
「自分の今の姿を見て、こういうお兄ちゃんになりたいんだと、自分はゆりかご出身だけど色んな人に恵まれれば、こういう大人になれるんだと感じてもらえればいいのかなと思います」