「こんな年は初めて」【梅が超不作】収量が例年の10%の畑も 今年は全国的な不作
今年も「梅」の季節ですが、日本一の産地、和歌山でも地域によっては収量が3割ほどとなるなど今年は全国的な不作になっています。熊本県内でも異変が起きています。
熊本県内有数の梅の産地、熊本市西区河内町の芳野地区。今が収穫の最盛期。なのですが…。
■JA熊本市梅部会 田中博文部会長(梅農家)
「こんな極端に少なかった年は初めて」
熊本市だけではありません。阿蘇市でも…。
■梅農家 山部賢次さん
「深刻すぎてあきれて。もう仕方ないと、あきらめています」
各地で梅が不作になっているのです。山部賢次さんは、梅を育てて16年になります。高冷地を生かした阿蘇市の梅は、他の地域より収獲時期が遅いのが特徴ですが、今年はあっという間に終わってしまいました。収量は例年の10分の1ほど。小梅にいたっては去年130キロ出荷したのに対し、今年は2キロ足らずしかとれていません。
一体、何が起きているのでしょうか。
■JA熊本市梅部会 田中博文部会長(梅農家)
「今年は1月がものすごく暖かくて」
大きな原因の一つが、暖冬です。今年の冬は気温が高く、花が通常より早い1月に開花しました。ところがその後に冷え込み、受粉のために必要なハチが活動しなかったのです。
今年は元々裏年だった上に、強風で収穫目前の実が落ちるなど悪条件が重なりました。田中さんの畑では例年、3トンほど収穫できますが、今年は500キロに届きませんでした。
JAの芳野梅選果場では去年、18戸の梅農家が34トン出荷しましたが、今年は3分の1ほどに落ち込む可能性もあり、出荷は今週で終わる予定だということです。
■JA熊本市芳野支店 髙木太郎さん
「梅は6月入ってからという認識があるかと思うが、いざ買おうとしたら物がない状況になってしまうのでは」
本来、今が旬の梅。阿蘇市の直売所では、代わりにイチゴが並んでいました。
■買い物客
「お店を何軒か回って、やっと梅を集めたような状態です」
■買い物客
「夏場の疲れとかにもいいっていうんですけどね。ないと寂しいですね」
熊本大同青果によりますと、県内の1キロ当たりの梅の販売価格は今年は1300円前後で例年の2.5倍ほどとなっています。
■JA熊本市梅部会 田中博文部会長(梅農家)
「待っててくれる人たちをなるべく裏切らない仕事をしたい」
JA熊本市梅部会は今後、受粉しやすい品種を導入するなど、対策を考えたいとしています。