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「もう何日もお米を食べさせられていない」日本で9人に1人が“貧困状態”…子どもたちを食で支えるフードリボンとは

2024年6月26日 18:30
「もう何日もお米を食べさせられていない」日本で9人に1人が“貧困状態”…子どもたちを食で支えるフードリボンとは

きょうのニュースなワードは『フードリボン』。聞いたことありますか?今月、愛媛県西条市の飲食店が県内で初めて参加・実施している‟優しいプロジェクト”なんです。

ある日のランチタイム。続々とお客さんが訪れていたのは、パンダのイラストが目印!西条市壬生川の中華料理店「福泰楼」です。開業10年目の今年5月、店を大幅にリニューアルしました。

杉本記者:
「春巻きかな?からあげも大きいですよ!これで120円、美味しそう!」

福泰楼 中根真梨さん:
「‟セルフ中華”という形で。選ぶ楽しさとか、好きに組み合わせて自分のプレートが作れるという楽しさがあるかなと」

従来の定食に加え、「セルフ方式」を取り入れたのです。例えば、お店の看板メニュー!パラッパラのチャーハンに…出来立て酢豚をプラス。

従来の定食に加え、「セルフ方式」を取り入れたのです。例えば、お店の看板メニュー!パラッパラのチャーハンに…出来立て酢豚をプラス。

本格火鍋ラーメンには…唐揚げと春巻きをプラスして欲張りセットに!など、定食やメインにもう1品!でもよし、単品おかずを組み合わせてオリジナル定食にしてもよし。およそ30種類並ぶ中華メニューを自分好みにカスタムできるんです。

男性客:
「オープン当初から来てるのでここ好きですね」

女性客:
「きょうはあんまりほしくないなと思ったら(単品を)つまむという感じで」

誰でも300円で参加できる「フードリボン」とは

店ではもうひとつ、リニューアルにあわせて今月4日から県内で初めてチャレンジしていることがあります。それは…

中根さん:
「フードリボンというものがありまして。ここにきてくださったお客様が未来の子どもたちのためにプレゼントっていう形になりますよね。1食分、これで食べてねっていう思いで皆さん貼ってくださってます」

「子どもの食を社会で支える」をコンセプトに3年前、千葉県のロングスプーン協会が始めた「フードリボンプロジェクト」です。

その内容は、まず、店の利用客が1つ300円のリボンを購入。そのリボンを店内の掲示板に貼っておきます。利用時間や対象年齢は店によって異なりますが、子どもはこのリボンをレジに持っていけば、一食を無料で食べられるという仕組みです。利用する子どもの経済的事情などは区別しません。

現在、全国で186店舗が参加していて、これまでに3万6000食あまりが子どもたちに届けられました。

中根さん:
「飲食店の負担はそんなにないんですよね。普段準備してるお料理がある中で、これ食べてと渡してあげられるというすごくハードルが低いやり方で、すごく大きな力になってあげられるなというのは感じました」

この日、店に掲示されていたリボンは14個。

リボンを購入した女性:
「楽しい夢のある色合い。あーこうして貼っておけばいいのね」
「素晴らしいこと考えてるよね。ちゃんと行き届くところへ行き届いたらいい」

リボンを購入した女性:
「自分の子どもたちと同じ年代の子どもたちがこの取り組みを知って、ごはん食べて、まだお腹空いたとか満たされないことがないように、あのリボンは使ってほしいなと思います」

福泰楼では、中学生以下の子どもを対象にご飯ものか麺類、好きな方を選んでもらい提供しています。

中根さん:
「制度はあっても、その隙間というか、ほんとに今日ご飯食べるの困ってるんだという人たちにできることってほんとに少ないなと感じてたんです。本当に必要な子どもたちにこの情報が届いてほしいなと思いますし、何か地域の、未来の子どもたちにしたいなって思ってる方たちもリボンを購入するだけで、そこがつながるということも知って頂きたいなと思います」

フードパントリー利用者の多くが「シングルマザー」

厚生労働省が2年前に行った調査によると、日本では9人に1人の子どもが平均的な所得の半分未満の世帯で暮らす「貧困状態」だとされています。

またひとり親など、大人が一人の家庭の貧困率は44.5%となっています。

三津教会 森分望牧師:
「コロナをきっかけに顕在化した‟貧困”だと思うんですけれども、コロナが終わったからといって減ったとか、良くなったというようなことはあまりないんじゃないかなと、来られる方を見て思います」

松山市の三津教会で子ども食堂やフードバンクなどを実施する森分牧師です。

森分牧師:
「相談つきのパントリー。生活の状況や困りごとを伺いながら食料の支援を行う日です」

教会では週に2回、生活困窮者を対象に無料で食料や生活用品を配布するフードパントリーを実施しています。

4年前「コロナ禍で困っている人がいるかもしれない」と始めたところ、思いのほか希望する人が多かったといいます。

現在、フードパントリーを利用しているのはおよそ130世帯。このうち8割がひとり親家庭で、ほとんどが「シングルマザー」です。

森分牧師:
「最初に連絡してこられる時には、『もう何日もちゃんとお米を食べさせられてない』ということが、コロナ禍だけじゃなくて今でもあるんですね。お米ってある程度まとめて買いますよね、それが厳しいってことだと思うんですよ。急に世帯主になって、朝から晩まで働いて子どもの世話をして」

いまはコロナが収束し働く場所や機会は増えたものの、非正規雇用で長時間無理をして働き、心身に不調をきたす母親も少なくないといいます。

「朝から晩まで働くのに生活が改善しなくて、子どもが食べられないような状況にならないようにしていけばいいんじゃないかと思いますし、公共の施設で子どもたちの食を保障するような取り組みが進んでいけばいい。助けてと言える場所がある、安心して過ごしてもいい場所がある、そういう場所になればいいなと思って活動しています」

愛媛に加わった新たな‟優しさの輪”、「フードリボン」。福泰楼ではきのうまでの20日間で、11人の子どもがリボンを使って食事をしたそうです。

利用した子どもたちを接客 福泰楼 中根芳美さん:
「小学校と幼稚園の子と連れてきて、家族連れで。うれしい、また来ますと言われて嬉しかった」

中根さん:
「いつもだったら外食はできないと思ってるかもしれないけど、あそこに行ったらごはん食べれるから行こうかって1食ごはんリラックスして食べられたり、これいいな!って思ってくださる方がいたら、ひとつリボンを貼って帰っていただきたいなって思います」

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