上越市の男性シェフ 50歳で夢かなえ 南極観測隊の料理人に選ばれる《新潟》
南極観測隊の料理人「自分に合っている」
上越市のレストラン「トゥジュール」でオーナーシェフを務める、高木和弥さん50歳。4年前に店をオープンさせフレンチをメインとした料理で客をもてなしてきましたが、新たな厨房に立つためにまもなく日本を離れます。
高木和弥さん
「ずっと同じ屋根の下で生活している隊員たちの食事を作るのは、相手の嗜好(しこう)とか食べる量とかもわかるので、そういうのを工夫しながらやっていけるのはすごく自分に合っているのかなと思った」
昭和基地とは
高木和弥さん
「知らない市外局番から(合格を知らせる)携帯に電話がかかってきた時はもう鳥肌が立って、震えて。もう興奮しすぎてよく覚えていないですけど、とにかく嬉しかった」
日本から直線距離で約1万4000キロ離れた南極昭和基地は、冬の平均気温がマイナス20度でブリザードも発生する厳しい環境です。
基地での食事とは
そのような場所で働く隊員たちの健康を守り心を癒すのが、日々の食事。高木さんは、もう1人の調理担当と協力しながら隊員27人分の食事や弁当作りにあたります。
また、昭和基地では隊員の誕生会なども開く予定で、パティシエである妻からお菓子作りも学んだと言います。
昭和基地ではスイーツ作りも
実際に南極でもふるまう予定だという焼き菓子「フィナンシェ」のお味は。記者が試食しました。
(リポート)
「優しい甘さが口いっぱいに広がります。過酷な環境で仕事をした後も、ほっと癒されそうな味です」
小学生の頃からのあこがれ そして映画を見て
料理人として32年間腕を磨き続けてきた高木さん。実は、南極に行くことは小学生の頃からの夢だったと言います。
高木和弥さん
「憧れたのは小学生の時に見た南極物語という映画。行ってみたいなとは思ってましたけど、現実的に行けるような場所ではないので、ただの憧れでした」
高木さんは、研究者ではないため半ば諦めていたと言います。しかし、2009年に南極観測隊の料理人を描いた映画を見て一念発起。見事合格を勝ち取りました。
「愛情をもってやっていけたら」
〈高木和弥さん〉
「思い立った時に一歩目を踏み出せるかどうかなんですよね。考えていても夢はかなわないので。すべて愛情を持って隊員にも料理にも食材にも愛情を持ってやってけたらいいなと思う」
子どもの頃から夢に見た南極で「食」で隊員を支える料理人に。
高木さんはオーストラリアで南極観測船「しらせ」に乗船し、12月下旬に昭和基地に入るといいます。帰国は2025年春ごろだということです。
2023年11月16日「夕方ワイド新潟一番」放送より