「現在も変化が続いている」元日の地震による液状化被害 新潟市西区で独自アンケート調査 約500世帯が回答《新潟》
元日の地震で液状化の被害が大きかった新潟市西区の被災者が独自にアンケート調査を行いました。
家屋の傾きや亀裂の広がりなど住居に変化があったか尋ねたところ、約500世帯が回答した夏の時点でも「現在も続いている」と答えていたことがわかりました。
「いまだ、家屋、電柱、道路、歩道すべて発災時の被災風景のままで、切ない」
「できたら引っ越したい。次に同じようなことが起きたら もう住めない」
これはアンケートに寄せられた被災者の声です。
元日の地震で多くの住宅が液状化の被害を受けた新潟市西区。
ことし7月から8月にかけて市民団体が坂井輪中学校区の7774世帯を対象に独自のアンケートを行い、その結果が公表されました。
2757世帯から回答が得られ、切実な状況が明らかになりました。
アンケートを行い自らも被災した皆川さんです。
〈西区地震被害アンケート調査市民の会 皆川ヒデさん〉
「1月1日の地震のあとに、日々、家も家の周りですね。庭とか道路とかが変化していくんですよね。本当に朝起きると家が変わっている。家の中が変わっている。きょうはここが盛り上がっていた、下がっていたというそういう変化ですね」
皆川さんが語るようにアンケートでは850世帯が「家屋や塀の傾きが日に日に大きくなった」「建物の基礎の亀裂が広がった」などと回答。
さらにそのうち約500世帯がアンケートが行われた7月、8月の段階で「現在も変化が続いている」といいます。
アンケートの作成に協力した新潟大学災害・復興科学研究所の卜部厚志教授です。
〈新潟大学 災害・復興科学研究所 卜部厚志教授〉
「液状化自体は止まっているんですけど、まだ下の地面が柔らかいので、家ってまっすぐ建っていて重力が下にきてバランスをとっているのでちょっと傾いてしまってヒビが入る」
アンケート結果を受け、私たちは現場に向かいました。
自宅が「全壊」の判定を受けたという女性。家の中は何とか住めるまでに直したといいますが、まだ被害が続いるといいます。
〈自宅が全壊判定 被災した女性〉
「発生時はここもうちょっと上がっていました。もっともっと上がっていました。上がった分、下の方が空洞になっているんですね。空洞になったところが自然に重みで下がっていくんでしょうかね」
地震直後は隆起していた道路が時間が経つにつれ下がってきたのだといいます。
さらに…
〈自宅が全壊判定 被災した女性〉
「この道路は公費で直していただくんですよね。直していただくにしても日にちがまだ全然決まっていないんですよ。車庫を上げるにしてもここ(道路)が直らない限りうちは直らないんです」
車庫に隣接する道路が壊れたままのため、いまだ車を入れることができないと話します。
Q)自治体の支援など足りていないところは?
〈自宅が全壊判定 被災した女性〉
「足りてないとは思うんだけど。どこへどうやって言っていいかちょっとわかりません」
アンケートでは「地震によって生じた困ったことや不安なこと」を尋ねたところ、「液状化対策」と回答した人が全体の74.5%、「復旧計画が見えない」が40.4%に上りました。
また自由記述では行政への対応を求める声も多く上がっていました。
《アンケート回答者》
「60年前の新潟地震からこの液状化問題が発生している。未来に禍根を残さないよう行政主導での大規模な対策をお願いする」
《アンケート回答者》
「少しでも復興の槌音を地域住民に示してほしい」
〈西区地震被害アンケート調査市民の会 皆川ヒデさん〉
「被災された人たちは不安のなかでいまも生活していらっしゃる。だけども周りは普通に生活が回っているというなかでやっぱり孤独感を感じているんだなと思います」
〈新潟大学 災害・復興科学研究所 卜部厚志教授〉
「みなさんが望むのが液状化の被害が中心だったので液状化対策を行政としてできところはやってほしいということが大きな声としてあるとわかりました」
卜部教授は今回のアンケートとともに今後、独自で行う地盤調査の結果を新潟市に提示する予定です。