渓流の女王・ヤマメを守る!美郷町で進む人工産卵場作り
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その美しい姿から「渓流の女王」と称されるヤマメ。
北海道から九州の清流に広く分布するサケ科の魚で、体には特徴的な班紋模様があり、その地域の食べ物によって模様や色合いが変わると言われています。
その模様の美しさも釣り人にとって大きな魅力となっており、食用としても人気の高い魚です。
しかし環境の変化や乱獲などにより、年々数が減少しています。
産卵場作りの背景と現状
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美郷町の鬼神野地区では、秋の紅葉が見頃を迎える時期にヤマメが産卵期を迎えます。
しかしこの地域では最近、大雨の影響による土砂の流入などで川底が埋まり、産卵に適した場所が少なくなりました。
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そこで、野生のヤマメの自然繁殖を支えるため、地元の漁業協同組合「上小丸川漁協」とボランティアの釣り人や協力者たちが、今回初めて人工産卵場作りを行いました。
人工産卵場の作業工程
まずは、川底を掘り起こし、大きな岩や土砂を手作業で取り除きます。
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次に石を大きさ別に選別し、その後、川底に大きな石を、その上に小さな砂利を2層に撒いたら完成です。
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ヤマメは大きな石の上に撒かれた小さな砂利を掘ってくぼみを作り、そこに卵を産みます。
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この日の作業には総勢18人が参加し、3カ所の人工産卵場を設置しました。
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専門家の山下耕憲研究員も「非常に良い人工産卵場が完成した。今後の産卵に期待している。」と今回の活動を高く評価しました。
上小丸川漁協の長友智紀副組合長は「来年再来年と継続して釣り人のボランティアを増やして、より多くの産卵場を作りたい」と話しています。
「上小丸川漁協」とボランティアの釣り人たちは、人工産卵場の他にも、土砂崩れによってヤマメがいなくなった上流に、下流から生きた在来のヤマメを人の手で持ち上げる「持ち上げ放流」も行っています。
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今後も美郷町では、渓流の女王の命と環境を守る取り組みが進められていきます。