地元に愛され続けてきた「ジャリパン」 100年近い歴史にいったん幕・事業継承を経て再スタート「その味を未来に残したい」
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宮崎名物「ジャリパン」と言えば、地元の人々に愛され続けてきた味。
発祥の店であるミカエル堂は、昨年3月100年近い歴史に一度幕を閉じました。
しかし今回、事業承継を経て、再び新たに歩み始めました。
「ミカエル堂」休業の危機と事業承継への挑戦
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再オープンを果たしたミカエル堂は、宮崎市中央卸売市場内の「カンカン通り」にあります。
新たなオーナー、大津伸詠さん(宮崎市)が4代目として引き継ぎ、今月14日から営業を再スタートしました。
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ミカエル堂の創業は1927年。
当初は学校給食用のパンの製造から始まり、その後店頭販売やスーパーへの卸売りなどで事業を拡大しました。
中でも「ジャリパン」は学校の売店などでで広く販売され、地元の人々に深く愛されています。
砂糖のザラメが特徴的なその味わいは、世代を超えて宮崎の食文化に根付いてきました。
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しかし2023年3月、老朽化や資金面の課題から休業を余儀なくされました。
この知らせに多くの人々がSNSなどで「ジャリパンの味が懐かしい」と惜しむ声が上がり、お店にも多くの問い合わせがあったといいます。
そこで事業継承マッチングプラットホーム「relay」で後継者を募集したところ、多くの応募があったのだそうです。
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当時、東京でウェブサービスの会社を経営していた大津さんは、地元宮崎に貢献したいという想いからこの挑戦を決意。
自身も高校時代にジャリパンを食べていた経験があり、「その味を未来に残したい」という思いが後押ししました。
再現への道と支援の輪
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パンづくりは初心者だったという大津さんは、三代目店主都成五男さんの指導を受けながら、製造方法を一から学びました。
「パン作りの知識がない中で、発酵の見極めなど感覚的な部分が大変だった」と振り返ります。
必要な資金は、クラウドファンディングで約150万円を調達するなど、多くの支援者を背に準備を進めました。
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オープン前には試食会が行われ、「子どもの頃を思い出した」と懐かしむ声が多数よせられました。
当日は開店の1時間前から行列ができ、ジャリパンの人気の高さが注目されました。
新しいミカエル堂へ 受け継がれる伝統
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再スタートをしたミカエル堂では、伝統の味を守りながらも新たな展開を目指します。
早くも「クリーミーチーズ 260円」が復活したほか、季節限定の「いちごジャリパン」などの復活発売も楽しみです。
新たな世代の宮崎っ子たちにも「ジャリパン」が思い出として刻まれていくことでしょう。
100年近い歴史を受け継ぎ、新たな一歩を踏み出すミカエル堂。これからの展開が楽しみです。