【世論調査解説】いつ外す?男女で違いも マスク&同性婚&子育て支援 みんなの意見と政府の方針は
政府は3月13日からマスクの着用は「個人の判断に委ねる」としています。しかし、多くの人はその後もできるだけ着け続けたいと思っているようです。NNNと読売新聞が行った世論調査を、日本テレビ政治部の竹内真デスクが解説します。
■60%の人が3月13日以降もマスクを「できるだけ着けたい」
竹内デスク:
今回の世論調査では、3月13日以降も、マスクを「できるだけ着けたい」とした人が60%、「できるだけ着けたくない」とした人は34%という結果になりました。この結果について政府関係者は「日本人の用心深い国民性が出ているように思う」と話していました。
さらに、男女別で見ると明確な違いがあることが分かりました。男性は「着けたい」が51%、「着けたくない」が43%だったのに対し、女性は「着けたい」と答えた人が69%。実に、7割近くに達したのに対して、「着けたくない」は26%でした。
スタッフ:
確かに、女性の私からすると、マスクをするのに慣れてお化粧も楽だったのが、マスクを外すとなると、またしっかりメイクしなきゃいけないのかと。「マスクを着けたままの方が楽だな」という感じはします。
■若者ほどマスクを「できるだけ着けたくない」
竹内デスク:
また、年代別で見ると、若い10代20代では「着けたい」が48%。「着けたくない」が47%と拮抗していますが、50代では64%対33%で、「着けたい」と答える人が多くなっています。
スタッフ:
年齢で回答に差がでていますね。
竹内デスク:
若者にとっては、“若者はあまり重症化しない”という話もあったので、感染をそこまで恐れておらず、「マスクをつけずに開放感を味わいたい」というふうに考えても不思議ではありません。一方で、年齢の高い人は、「重症化するんじゃないか」という恐怖感もある可能性がありますので、「マスクをつけておいたほうが無難、安心だ」と感じているのかもしれません。
スタッフ:
マスクが外れる時期が3月13日だと、花粉症の人はちょうどマスクが必要な時期ですから、「着けたい」と思う人も多いのかもしれません。
竹内デスク:
そうですね。そして、やはり暑くなってくると、さすがに「ちょっとマスクはしんどいな」と外す人が増えてくると思います。そうなると、日本人はやっぱり空気を読む人が多いですから、「みんな外してるんだったら、外そうかな」という人も増えてきて、また少し状況も変わってくるかもしれません。
■同性婚を法的に認めることには圧倒的に「賛成」
竹内デスク:
今月の世論調査では「同性婚を法的に認めるかどうか」についても聞きました。結果は、「賛成」66%が、「反対」24%を大きく上回りました。
竹内デスク:
年代別に見てみますと、10代20代では「賛成」がなんと87%。全体の結果よりも20ポイント以上多くなっています。年代が上がるにつれて賛成は減っていき、70代以上の世代では「賛成」が40%、「反対」が44%と、ここで賛否が逆転しています。やはり歳を取った人は、ややこうしたことには慎重なようです。
スタッフ:
性的マイノリティーに対して、「こういう見方をした方が良いよ」という考えに、物心ついた時から触れてきた世代は「賛成」が多く、これまで性的マイノリティーの問題を深く考えてこなかったのが日本の社会ですから、そうした環境で長く生きていた高齢の人は慎重ということかもしれません。
竹内デスク:
そういう傾向もあると思います。今は、テレビにLGBTの人が出てきたり、そういうことが“特別なこと”ではなくなっていますから、若い人ほど「賛成」することに違和感がないのかもしれません。一方、お年寄りからすると、周りにそういう人がいないと、なかなか簡単には受け入れられないということなのかもしれません。
■“保守”の自民党支持層でも「賛成」が「反対」上回る
竹内デスク:
もう一つ特徴を見てみると、主義主張が表れる支持政党別でも結果に差があります。保守層が多いと言われる自民党支持層では、「賛成」が54%、「反対」が37%と、全体に比べるとやはり「賛成」が少ない。
スタッフ:
それでも、自民党支持層で「賛成」が「反対」よりも多いということには、少し驚きました。
竹内デスク:
実は、この結果についてある自民党幹部は「賛成が6割なんていうのは、地方にいるとそんな風には感じない」と言っています。これは、“大っぴらには口には出せないけれども、内心は反対だという人もいるのではないか”と見ているということです。今回は首相秘書官の差別発言などもあって、同性婚が話題になっていましたから、「差別発言はいけないんだな」「多様性を認めなければいけないんだな」という雰囲気になっていた可能性はあると思います。空気を読むのが日本人ですから、内心は「どうかな?」と思っているけれど、“反対とまでは言えない人”が「賛成」としたことで、保守層が多い自民党支持層でも「賛成」が多い結果になっている可能性はあると思います。
■子育て支援策は「期待できない」が圧倒的
竹内デスク:
岸田首相は、子育て支援策を大幅に拡充する方針を示しています。これが「少子化の改善につながると期待できるか」を聞きました。すると、「期待できる」はわずかに27%、「期待できない」と答えた人は64%と、圧倒的でした。つまり、打ち出してることは評価するけれど、本当にそれが実行できるか、実現するかというと、「どうかな、ちょっと難しいんじゃないか」と思っている人が多いということです。
岸田内閣を支持する層ですら「期待できる」と答えた人は41%にとどまっていて、半数の50%は「期待できない」と答えています。内閣を支持していない層に至っては、何と8割が岸田内閣の少子化対策は「実現しない」と見ています。これだけ政権が力を入れている政策にもかかわらず、冷ややかに見られていることがわかります。
スタッフ:
冷ややかに見られている理由のひとつには、「まだ具体的なラインナップがあがっていない」ということもあると思います。
竹内デスク:
今のところ、少子化対策として議論に上っていることのほとんどが、困っている人にどうやって、“お金の面で”手当てするかということです。これについてある自民党議員は、「目先の給付のことに議論が集中しているので、『そこじゃないだろう』と世論が冷静に見ているからではないか」と分析しています。
本当に困っている人は、お金ももちろん大切ですけれど、やはりお金では解決できない問題もあって悩んでいる人も多いわけですから、ここにどういう解決策があり、それをどのように岸田政権が打ち出していくのか、大きなポイントになると思います。
■内閣支持率は“微増”、“ほぼ横ばい”
竹内デスク:
最後に岸田内閣の支持率。今月は41%で、前の月より2ポイントほど増えています。“微増”、“ほぼ横ばい”と言ってよいと思います。それでも、4か月ぶりに40%台を回復しました。ある自民党幹部は「支持率も底を打ってきた」と、かなり前向きに評価していますし、政権の中枢は「わずかでも改善してよかった」と胸を撫で下ろしている様子でした。それでも、自民党内には「低空飛行で安定している」と厳しい声もあります。
岸田政権はこれからまさに予算案の採決という大きな節目を迎え、この予算が成立したら、次は攻めの手に打って出ようとしているように見えます。G7 広島サミットが控えていますので、今後は外交に力を入れていこうとしているようなのです。外交に打って出て、支持率を反転攻勢、上向きにすることができるのか。岸田政権の正念場は続きます。
(日本テレビ政治部:竹内真デスク)