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郵政見直し案めぐり、混乱が続く鳩山内閣

2010年3月29日 1:13
郵政見直し案めぐり、混乱が続く鳩山内閣

 亀井郵政相(国民新党代表)が発表した郵政事業の見直し案をめぐって鳩山内閣の足並みが乱れ、政権の問題点があらためて浮き彫りとなっている。政治部・渡辺真誉記者が報告。

 今回の争点となっているのは、郵便貯金の預入限度額を現行の1000万円から2000万円に引き上げる方針についてだ。「官の肥大化」との批判に加え、金融機関の反発は必至だ。しかし、郵政改革の見直しで実績をアピールしたい亀井郵政相は「政策決定の手続きに問題はなく、鳩山首相の了承も得ている」として一歩も引かない構え。28日も「まだ決めていないと首相がおっしゃった意味は、閣議決定していないという意味において、最終決定してないですよと(いうことだ)」とあらためて強調した。

 一方、仙谷国家戦略相らは、国の経済にも大きな影響を与える問題として修正を求め、閣内の対立は深まるばかりだ。

 この対立の背景には、鳩山政権内の調整能力不足がある。政治主導を掲げる鳩山政権では、従来の官僚による政策調整は機能停止に陥っている。また、政治主導で国の大方針を示すはずだった国家戦略室も思うように機能していない。鳩山首相もリーダーシップを示さず、行き当たりばったりの政権運営に終始している。結局、30日に全閣僚が参加して郵政改革のあり方について議論することになったが、意見がまとまるかどうかは不透明だ。

 こうした事態に、自民党は「政権担当能力がない」と批判を強めている。谷垣総裁は28日、「(各閣僚の主張が)もうバラバラ!バラバラならまだいいですよ。互いに言ったとか言わないとか、まあ応酬ですね。私はもうあきれました。政治主導で物事を決めていくということが全く機能しないということがハッキリわかりました。首相がリーダーシップを発揮してまとめていくはずのものが全然できていない。私はこんなリーダーシップで本当に日本をまとめていくことができるのかどうか、本当に肌寒い思いだ」と述べている。

 政権内の調整能力の欠如が露呈した鳩山首相。対応を誤れば政権そのものを揺るがしかねない事態になっている。