AIで電力需要は急増…“原発ゼロ”は本当に現実的? 共産“30代ホープ”と議論 野党共闘が整わなかったワケ
共産党の“若き政策委員長”山添拓議員が日本テレビのYouTube選挙特番「投票誰にする会議」に出演しました。「暮らし優先で経済も立て直す」を公約の柱にかかげる共産党。“消費税5%”や“原発ゼロ”は本当に実現するのか、議論しました。
AIエンジニア・安野貴博氏
「(Xに投稿された意見をAI分析で“見える化する”)ブロードリスニングで共産党への声を見てみると、“共産党の政策について話されている声”が意外とない。“共産党の政策と批判”という意見の部分はあるが、全体の7%くらいでした」
「100項目くらいあるマニュフェストを公開している一方で、そこまで話題になっていないという仮説ですが、意外とX上に支持者が多くないのかなと」
日本共産党・山添拓政策委員長
「支持者でSNSを見たり発信したり、やっている方は多い。共産党、というだけで色々なイメージを持たれたり、評価されることがある。党自身の発信や政策そのものというより、異なる角度からの評価が多いのかなという印象もある」
安野氏
「野党協力してくれという声も多い。共産党は擁立者が多いじゃないですか。これが票を割れさせているんじゃないのか、という声が多い」
山添議員
「私たちが候補を立てていないところで、立憲と維新と国民が競合しているところもある」
「自民党政治を変えるのは大変なので、野党共闘は必要。しかし、何の合意も、意思合わせもなく、ただ数合わせというのは、野合という話になってしまう。お互いどういう意思を持って、何のために共闘するのかという確認は、有権者に対しての責任。今回は、3年前の選挙と同じようにならなかったということですね」
日本テレビ・井上幸昌政治部長
「自民党の政治とカネの問題があって、“じゃあ今回野党に入れようかな”となった時に、選挙区を見て、例えば立憲・維新・共産が候補を立てているのが、全国に71小選挙区もある。どう選べばいいのか、という声もあると思うが」
山添議員
「競合しているところは、それぞれが切磋琢磨をして訴えている。私たちは比例代表で議席を増やし、国会のなかで存在感を高め、野党共闘を発展させようというのを、小選挙区の方針にしている。小選挙区は一人しか選べない、これはやっぱり小選挙区制そのものの問題だと思うんですけどね」
日本テレビ・鈴江奈々アナウンサー
「今回、野党共闘が整わなかったのは、政策のすりあわせができなかったという話があった。安全保障関連法の即時廃止、というのは、共産党としては譲れなかったことでしょうか」
山添議員
「即時というか…。政権をとっても“明日すぐ廃止”という訳にはいきませんから、一定時間の検証は必要。ただ、(立憲)野田代表は、“検証の結果、廃止しない可能性”も示唆していた。安保法制が違憲、廃止のための野党共闘をということでしたが、その基盤を損なうものだと私たちは見ています」
「もっと言えば、立憲の代表選で“共産党とは政権を共にできない”と皆さん仰っていた。それの意味で、いざ選挙になると“降りてくれ”というだけの共闘は筋が通らないんじゃないかと思うわけです」
■“こうしたら政治がよくなる” 一番訴えたいのは…
鈴江アナウンサー
「視聴者からもたくさん意見が来ている。一番こうしたら政治がよくなると思うことは何ですか?」
安野氏
「選挙だけが自分たちの意思の反映する手段というが、その幅を広げていかなきゃならない。台湾では市民が“こんな法律だったら良い”というものを投稿できるプラットフォームがある。いいね!が5000以上ついたものについては、専門家がついて、検討するし、そこから法制化されたケースが20件以上ある。デジタルテクノロジーを使いながら、選挙以外にも市民の声を反映させるパスをつくっていくことが大事だと思う」
山添議員
「私は、やはり小選挙区制は民意をゆがめていると思う。1人しか選べない。議会の基本は、議論を通じて、最後は多数決で決めるわけですけど、そもそも議会に行くまでの段階で1人しか選ばれなくて、死に票が多くて…となると、議会の段階で色々な意見が反映されない。だから衆院議員でいえば、女性は1割に満たないというようなジェンダー平等にも反するような結果をもたらしていると言える」
「1人しか選べないということの理不尽さを、国会の中で与野党問わずそろそろ見直すべき。30年前の腐敗政治から、政治改革としてやったのが小選挙区制と政党助成金。肝心の企業・団体献金の禁止をやらなかった」
「それが30年たって今、裏金事件をもたらしたわけですから、選挙制度も含めて立ち返るべきタイミングに来ているんではないかと思います」
鈴江アナウンサー
「視聴者から“消費税(減税)を公約として掲げていることは、唯一共産党の評価できるところ”という意見もきています」
山添議員
「共産は元々導入に反対していました。廃止を目指しますが、財政上今すぐそこまではできない。なので、責任をもって財源も示せるのは“5%への減税”だと。同時に複数税率ではなくなるので、インボイス制度も必要なくなります」
安野氏
「消費減税するとどこかで増税しないといけなくなる。マニフェスト見ると、年金増額などお金を使う施策も出ているが、どう考えますか」
山添議員
「税をどこから集めるかと、税の無駄な使い道があってはならないことを改める、というのが中心。消費税は、社会保障の財源だと政府から言われ引き上げられてきた。実際には導入から35年間で539兆円の累計税収になっていて、一方、その間の法人税収が減収され、また(消費)増税のたびに景気が悪化する関係で所得税・住民税が減収になる。600兆円以上それで減っています。消費税をあげたけれど、結局、法人税や所得税の減税の穴埋めに使われた、ということは否定できないと思うんですね」
鈴江アナウンサー
「2024年度の歳入でいうと、消費税が税収として一番大きな割合で21%。法人税、所得税も柱になっている。消費税を5%にすると、14兆円くらい減収してしまうが、毎年これを捻出できるのでしょうか」
山添議員
「法人税を増やすことになります。これまで、第二次安倍政権以降、法人税の最高税率が下げられている部分があります。これを上げていく」
「いま、とりわけ大企業が税制優遇されています。大企業でしか使えない減税策とか、連結決算などで法人税の実効税率は中小企業だと20%くらいですが、大企業だと10%。大企業ほど税率が低いので、もう少し是正することで、応分の負担をしてもらうというのは実効性のある話じゃないかと思っています」
鈴江アナウンサー
「法人税1%上げると大体7000億円くらい増収という話もある。14兆円をカバーするとなると…」
山添議員
「(大企業の法人増税)それだけではできません。所得税などについて、所得が1億円を超えれば超えるほど負担率の低くなる“1億円の壁”を改めて、捻出していくこともあると思います。株や金融商品でもうけている人、金融所得課税については引き上げていくこと、累進制にしていくことが必要だと思います」
安野氏
「エネルギー問題についても、原発・石炭・火力の段階的廃止についても言われています。AIなど新しいテクノロジーと、発電量を減らすというのは両立しないと思うのですが…」
山添議員
「気候危機打開との関連で掲げている政策で、カギは石炭火力からの撤退と原発ゼロ。前提として省エネと再エネの抜本的拡大だと思います」
安野氏
「AIはものすごい電力を消費する。(パリ協定で定めた世界の平均気温上昇を抑える)1.5度目標を優先して、AIをあきらめる、ということも考えるのか」
山添議員
「そうではない。全体の電力消費量を減らしていくことが必要。AIも電力を消費するということだが、いつまでもそうだということではないと思う。むしろ、そのAIを使ってもエネルギー消費を減らすにはどうするか、ということにこそ知恵を使うべき」
井上政治部長
「ただマニフェストを見ると、2030年度に原発と石炭火力をゼロにするとある。これだけAIをみんな使って物事が動き始めているなかで、現実的なのか。6年後ですよね」
山添議員
「このまま行くと、(気温上昇が)1.5度を超えてしまう。この政策は2020年に発表して、政府にも迫ってきたが方針転換しなかった。気候危機打開に向けた対策を取らずに手遅れ、となってしまっては無責任だと思う」
「原発は、東京電力管内ではいまゼロだが、そのままでやっていけるところもあると思う。石炭火力についてはゼロに向けたロードマップを描いていくことが必要だと思います」