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今年の政治 防衛・安全保障の課題は?

2014年1月2日 11:24

 安倍首相は2012年の就任以来、「日米同盟の強化、安全保障体制の強化」を掲げ、安全保障政策の見直しに重点を置いてきた。

 外交・安全保障の司令塔となる「国家安全保障会議」を発足させた他、中国による沖縄・尖閣諸島などへの強引な進出を踏まえ、離島防衛の強化を柱に、アメリカ軍の新型輸送機「オスプレイ」の導入や「水陸機動団」の新設を盛り込んだ新たな防衛大綱を閣議決定。これにあわせ、2014年度予算案では2年連続となる防衛費の増額も決めた。

 また、沖縄・宜野湾市のアメリカ軍普天間基地の移設問題では、仲井真知事から、移設先となる名護市辺野古沖の埋め立て承認を得て、長年、こう着状態だった普天間問題を前進させた。

 日米同盟を重視しながら、安全保障体制の強化を着実に進めてきた安倍政権だが、今年は憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に踏み出すのかどうかが焦点となる。

 有識者会議は、2013年度予算案が成立した後の今年春にも、安倍首相に行使容認を求める報告書を提出する予定。報告書を受けて政府は新たな憲法解釈など本格的に議論し、早ければ通常国会終了後の夏にも閣議決定を目指したい考え。ただ、これまで憲法9条との兼ね合いで集団的自衛権の行使を禁じてきた日本の安全保障政策を大きく転換することにもなり、見直しに否定的な公明党幹部は「場合によっては連立を解消せざるを得ないことになる」とけん制している。

 また、2013年末の安倍首相の靖国神社参拝の影響も、集団的自衛権をめぐる議論に影を落としそうだ。アメリカは安倍首相の参拝を受け、「失望している」と異例の声明を出した。集団的自衛権の行使容認に踏み出せば、中国と韓国は更に反発を強めるとみられ、中韓との関係悪化を懸念するアメリカがどう反応するのか不透明な状況。

 一方で、武器の輸出を原則禁じている「武器輸出三原則」については、防衛装備品の共同開発などが国際的に広がる中、現行制度が「時代に見合っていない」との意見も多いことから、新たなルール策定に向け、今月から与党で議論を開始する。

 安全保障政策の見直しは「世論の支持」という推進力がなければ実現できず、国内外の理解を得ながらどこまで実現できるのか、安倍首相の手腕が試される。