プーチン大統領 特別インタビュー全文11
北方領土問題などについて話し合う安倍首相とロシアのプーチン大統領との首脳会談が15日から始まる。会談を前に、プーチン大統領は、日本テレビと読売新聞の取材に応じた。(11/20)
■「露日はパートナーになるのが当然」
――大統領は(北方領土での)総合的な政策のパッケージに先ほど言及した。共同経済活動という選択肢があるのだろう。この共同経済活動については、どういうイメージを持っているか。北方4島全てでという考え方もある。あるいは、4島の中の一部の地域をいわば経済特区として、それでそこで共同経済活動をして行くというような選択肢もあるんだろうが、大統領の中ではどういうイメージでこの活動を捉えているか。
ご存じのように、第一に、わたしの考えでは、広い意味で貿易・経済関係を改善する必要があります。それはこの2年間で残念ながら、露日間の貿易は落ち込みました。以前の水準まで回復し、さらに拡大し前進するためにあらゆることをしなければなりません。
露日両国は、すでに私が述べたように、パートナーになるのが当然です。なぜなら、当然のことですが、なにを隠そう、極東全域の発展に日本が参加し、技術を日本から導入することは我々の利益になるのです。経済協力の良い例があります。例えば、自動車産業、その他の分野。農業分野には、日本は積極的に進出しています。
ついでにいえば、ロシアのエコロジー的にクリーンな畜産・精肉が日本の市場に進出することを期待しています。露日両国には、多くの興味深いエネルギー協力の方向性があります。
日本で消費される石油・ガスの9%は、ロシアから輸入されています。さらに、発展の展望があります。「サハリン1」、「サハリン2」は活発に操業し、そこで生産されるガスや石油の70~75%は長期契約で日本に輸出されています。3番目の工場建設の計画もあります。現在、ヤマル半島に日本のパートナーが参加する計画が実現しています。露日両国には、活動すべきことがありますし、展望もあり、規模も大きいです。
■「共同経済活動の範囲は、1~4島のいずれも検討できる」
南クリル諸島(北方領土)についていえば、様々な選択肢があり得ます。我々は、1島、2島、3島、4島いずれでも共同活動を検討する用意があります。重要なのは条件です。その条件は、できるだけ自由なものでなければならないのです。このことについては安倍首相が述べており、私も賛成です。
■「まず政治的問題の解決、そして平和条約締結だ」
――ロシアの法律の下でなのか、日本の法の下でなのか、第3の機関を作って、そのもとで法的なものを整合させるのか。そのあたりのお考えは?
日本人は非常に創造的で頭のいい国民だと思います。いまあなた方は、議論に対するアプローチのすばらしい例を示しました。日本の主権のもと、島々で経済活動を展開する問題が提起されました。しかし、第一歩がそうだと、第二歩は必要ないことになってしまいます。問題は、それで終わりとされてしまいます。我々はそういう合意はしていません。
我々は、まず最初に、政治的な性格の問題を解決し、その後、平和条約締結問題を解決することで合意しました。あるいは、両者を一緒に解決しようと。しかし、単に可能性のある協力の計画を描くだけでは、我々は平和条約の締結問題、その基礎となる領土問題を解決することはできません。ですから、これは専門家による入念かつ慎重で具体的な交渉で決められるべきです。