プーチン大統領 特別インタビュー全文9
北方領土問題などについて話し合う安倍首相とロシアのプーチン大統領との首脳会談が15日から始まる。会談を前に、プーチン大統領は、日本テレビと読売新聞の取材に応じた。(9/20)
■中国と国境を画定済み、残るは日本の北方領土?
――北方領土の問題はロシアから見ても、唯一残された国境線の問題だと認識しています。2004年には、中国との間で4300キロにわたる国境の画定をすでに終えている。
■「ロシアに領土問題は存在しない。しかし、日本と話し合う用意はある」
ロシアには、領土問題はまったくないと思っています。あると考えているのは日本ですが、話し合う用意はあります。
――しかし、私たちが認識する限り、相当レベルの首脳同士の会話があり、その過程では、新しいアプローチという言葉も出て来たと認識している。日本の首相が言った言葉かもしれないが、双方の間で新しいアプローチを模索しようという形で、話し合いの前進があるのではないかと想像していた。今大統領の話を聞く限り、実質的な前進がまだ得られていないというのが印象だ。
イエスでもあり、ノーでもあります。前進はあります。安倍首相が提案し、平和条約締結と領土問題とそれに関連した問題の解決に向けての弾みをつけたようにみえます。安倍首相は何を提案したでしょうか。信頼と協力の状況をつくりだすことを提案しました。思うに、ほかの形では、平和条約締結にむけた文書に署名するのは想像もできないでしょう。我々が言っているように、信頼や協力がなければ、文書に署名するのは不可能です。
■「8項目の経済協力プラン 人道・文化交流で…前進はある」
ですから、我々は、こうした状況をつくりだすことに同意しています。その意味で、前進はたしかにあります。例えば、安倍首相は、露日両国の最も重要で興味深い協力活動の分野において、8項目の経済協力プランを提案し、経済協力を新たな水準に引き上げるよう提案しました。安倍首相は、人道的性格を持つ問題を解決する必要性にも注意を向けました。これらの問題のひとつについては、すでに言ったように、日本国民による南クリル諸島(北方領土)へのビザなし渡航の問題です。他の分野もあります。例えば、文化交流です。これは非常に重要なことです。スポーツ、柔道です。これをわたしが口にするのは、きょうも話が出ているとおり、わたしが柔道をやっているからでしょうね。
文化交流はほぼ毎年、日本ではなんらかのロシア関連イベントが行われています。来年、日本で、一連のイベントを開催する予定で、それを「ロシアの季節」と名付けたいです。40以上の様々なイベントを、日本の各都市で行うことを考えています。ロシアでの日本文化にたいする関心は、日本でのロシア文化への関心よりも小さくないと私は断言します。我々は、日本の歴史と日本そのものに敬意と関心を抱いています。日本の歴史と文化は、非常に独自のものがあります。ロシアでは、非常に大きな関心が持たれています。こういったことすべてを我々が実現できればいいのですが。国際安全保障の分野での協力についても、話すことができますし、話さなければなりません。それも、極東地域だけのことではありません。
■「北朝鮮の核・ミサイル問題 露日両国に共通の“脅威”」
大量破壊兵器の拡散による危険の増大に、我々は不安を感じないでしょうか。例えば、ミサイル技術が例に挙げられます。それは、世界にも、地域にも一定の脅威をもたらしています。露日両国には、両国の利害に関する明らかな共通項があります。もし、露日両国がこれらすべての分野で協力すれば、安倍首相が述べている信頼のための条件をつくりだすことができます。その条件というのは、平和条約の締結に向け、さらに一歩前進するためのものです。最初に、この部分を突破しなければなりません。その後で、平和条約を締結する条件について合意する必要があります。いずれも、簡単な課題ではありませんが達成は可能です。これらの目的は達成できるし、課題は解決できます。