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プーチン大統領 特別インタビュー全文15

2016年12月14日 18:07
プーチン大統領 特別インタビュー全文15

 北方領土問題などについて話し合う安倍首相とロシアのプーチン大統領との首脳会談が15日から始まる。会談を前に、プーチン大統領は、日本テレビと読売新聞の取材に応じた。(15/20)


■トランプ次期大統領 今後の露米関係の見通しは?


――国際関係についてうかがいたい。まず、アメリカとの関係だ。承知の通り、ドナルド・トランプさんが次期大統領に当選して、すでに大統領自身は11月14日に電話で会談した。トランプさんには、どんな印象を持っているか。どんな会話をしたか。


■「露米関係の正常化を支持 応分の努力をする用意あり」


 私は彼とは電話で話しただけですが、安倍首相は実際に会っています。ですから、当選した次期大統領に最初に会った安倍首相に聞いたらいいのではないでしょうか。よく知られていることですが、次期大統領は露米関係の正常化を支持しています。我々としては、これを支持しないわけにはいきません。我々は当然、それに賛成で、私自身すでに公に述べたことですが、これが簡単な課題ではないと理解しています。それはこんにちの露米関係の悪化をみればなおさらです。しかし、我々としては応分の努力をする用意があります。


■「世界の安全保障と安定確保に共通の責任がある」とは?


――年次教書演説では、「我々には世界の安全保障と安定を確保する共通の責任がある」と述べている。どのような協力をする用意があるのか。

 国際安全保障の分野について言えば、アメリカとロシアは依然として最大の核保有国です。我々は一緒に大量破壊兵器とその運搬手段の拡散防止のために戦う用意があります。我々は、ともに働く用意があります。国際テロリズムとの戦いで、われわれはこれまでよりずっと密に協力する用意があります。この点で、露米両国にはもちろん多くの可能性があります。仮に我々がしばらく協力していたならば、こんにち世界が直面している多くの問題は避けられたでしょう。いずれにせよ、それらの問題はこれほどひどくならなかったでしょう。例えば、世界の多くの地域、ヨーロッパ、アメリカ、ロシアでのテロ活動や犠牲は避けられたでしょう。難民問題もこれほどひどくならなかったでしょう。私はその点はまったく疑っていません。


■「エネルギー・宇宙開発・地域紛争解決…露米の関係正常化必要」


 もうひとつの分野があります。露米の経済協力です。現在すでに知られていることですが、我々はロシアの大手石油会社ロスネフチの大規模な民営化を行いました。ロスネフチは、カタール投資庁と、大手国際投資会社グレンコアからなる共同事業体に自社株19・5%を売却しました。

 また我々は、はっきり知っているのですが、アメリカの企業は日本企業と同様にロシアの石油ガスの分野での協力に大きな興味を示しています。これは、世界のエネルギー市場にとって、大きな意義を有しており、世界経済全体に直接影響します。また、地域紛争の解決においても両国は、非常に多くのことをなし得るし、宇宙開発分野でも平和目的での協力を続けることができるでしょう。ちなみに、日本も国際宇宙ステーションの枠内で、有人宇宙飛行において、かなり活発に活動しています。

 我々には、ほかにも多くの分野があり、いずれも、両国の利益になると確信しています。必要なのは、善意だけであり、お互いの利益を考慮しつつ実際の作業に移らなければなりません。私の考えでは、これが必須の条件であって、次期大統領はまさにこうした協力への用意があります。実際にどういうことになるかは、我々はいまのところわかりません。彼の正式な就任と新政権の発足を待たなければなりません。我々は、よく承知していますが、近年、露米関係の発展に対し、懐疑的あるいは警戒感を持って見る人間が少なからず現れたのです。しかし、両国の深くかつ根本的な利益のために、関係正常化が必要です。