プーチン大統領 特別インタビュー全文17
北方領土問題などについて話し合う安倍首相とロシアのプーチン大統領との首脳会談が15日から始まる。会談を前に、プーチン大統領は、日本テレビと読売新聞の取材に応じた。(17/20)
■米露関係の変化で制裁解除への期待感は?
――米露関係の変化が制裁解除することへの期待感はあるか。
■TPP・ブロック経済…プーチン大統領の“世界経済”観
これは、露米関係だけの問題ではありません。私の考えでは、政治的な思惑による経済分野のいかなる制限も、世界経済全体にとって極めて有害です。これは、ゲームの統一性とルールを破壊します。
つい先日、リマの「APEC(=アジア太平洋経済協力会議)」の首脳会議において、我々はこのことについて話しました。APECに出席したアジア太平洋地域のほとんどの首脳が、異口同音に次のように述べました。「我々は、世界貿易の非常に厳しい危機のさなかにある」と。危機は、いくつかの国の市場における制限と関係しています。これは、政治的な手法を利用した結果です。競争において経済上の制限を用いて政治的な目的を達成しよういうものです。これは、世界経済の秩序を破壊している要因のひとつです。
その秩序はかなりの部分、米国自身によって「GATT(=関税貿易一般協定)」の草創期につくられたものです。GATTは後に「WTO(=世界貿易機関)」に生まれ変わりました。ところがここにきて、「TPP(=環太平洋経済連携協定)」、環大西洋貿易投資連携協定を創設しようという話が持ち上がっています。これについては、WTOを回避するものではないかと我々は懸念を抱いています。WTOの枠内では、途上国と妥協することができないからです。これは良いことでしょうか。あまり良くないことだと我々は思います。もし、世界経済が閉鎖的な経済ブロックに分かれてしまえば、経済活動および世界貿易の国際ルールについて共通理解を得て、それを適用することはかなり難しくなります。
ですから我々は、ルールは普遍的であるべきだと主張しています。地域連合体をつくる場合、国際貿易機関やWTOの規範にのっとって活動すべきです。我々はこうした点を前提として考えます。アメリカの新政権が発足した後、近い将来、状況がどう展開するかは、いまのところ分かりません。時がそれを示してくれるでしょう。