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【解説】親交深めた日米ファーストレディー

2017年2月14日 17:17
【解説】親交深めた日米ファーストレディー

■親交を深めた「日米ファーストレディー」

 今回の日米首脳会談では、安倍首相とアメリカ・トランプ大統領の親密ぶりが際立っていたが、この2人以外にも親交を深めた2人がいる。安倍昭恵夫人とメラニア夫人だ。メラニア夫人にとっては、今回が外交デビューとなった。

 安倍首相とトランプ大統領がゴルフ外交にいそしむ間、昭恵夫人とメラニア夫人は大統領の別荘近くにある日本庭園を訪れ、コイにエサをやるなど1時間ほど散策を楽しんだ。

 そのファッションを見ると、メラニア夫人は白いワンピースに白いカーディガンを羽織ったスタイル、昭恵夫人は白いブラウスに紺色のスカートだった。また、日本庭園側から両夫人に扇子がプレゼントされたという。

 昭恵夫人のフェイスブックによれば、この後、大統領夫妻が結婚式を挙げた教会にも足を運んだという。

 実は2人は土産も交換し合っていて、昭恵夫人からはミキモトのパールピアス、メラニア夫人からは「ウラジミール・カネフスキー」というアメリカのブランドのバラの造花が贈られたという。また、昭恵夫人からは、トランプ大統領の息子・バロン君(10)にもプラレールと木の観覧車のおもちゃが贈られたという。

 メラニア夫人は今回の会談で久しぶりに姿を見た気がするが、現在はバロン君の子育てを優先するためニューヨークに住んでいて、大統領のいるワシントンのホワイトハウスには当面入らないとしている。

 そのため、娘のイバンカさんが大統領に付き添う場面が多く、ファーストレディーの役割を果たすのではとみられてきた。


■メラニア夫人の好感度は?

 トランプ大統領は批判も多いが、メラニア夫人はどのような評価なのだろうか。

 アメリカの世論調査会社が行ったファーストレディーの好感度調査を見ると、ファーストレディー当時のヒラリー・クリントン夫人の好感度は59%、ミシェル・オバマ夫人は68%だったが、メラニア夫人は37%で、クリントン・オバマ両夫人に比べると圧倒的に好感度が低い。

 こうした調査は様々な会社が行っていて数値には幅があるが、好感度が低い理由の1つには、去年の共和党大会でメラニア夫人がしたスピーチがオバマ夫人の演説を盗用したのではとの疑惑があって、マイナスに働いているとの見方がある。

 そして、もう1つにはアメリカメディアはメラニア夫人を「reluctant first lady」、つまり「前向きでないファーストレディー」と表現している。

 ファーストレディーは外国の賓客をもてなすだけではなく、社会運動や慈善活動に取り組むのも重要な役割だ。しかし、メラニア夫人は、こうした活動や政治に関心があるのかどうかまだ不透明だという。

 実際、今回も昭恵夫人が聴覚障害者の大学を訪れた時には、姿はなかった。

 一方、過去のファーストレディーを見ると、ミシェル・オバマ夫人は子どもの肥満問題に目を向け、体を動かそうというキャンペーンを展開した。

 また、国務長官を務めたヒラリー・クリントン氏や、古くはルーズベルト元大統領の妻エレノア・ルーズベルト氏のように、政治的に活躍したファーストレディーもいる。ブッシュ元大統領のバーバラ夫人は、アメリカの典型的なお母さんのイメージで高い人気を誇った。


■メラニア夫人「らしさ」とは?

 様々なタイプの夫人たちが大統領を支えてきたわけだが、メラニア夫人は今後、どんな個性を出していくのか。取材によると、メラニア夫人は「子どもの支援を行っていきたい」と語っていて、昭恵さんと共通の関心事で話が盛り上がったという。

 そしてもう1つ、メラニア夫人らしさといえば、ファッションではないだろうか。トランプ大統領の就任式時に着ていたスカイブルーのドレスは、とても印象に残った。これはアメリカのブランド「ラルフローレン」のもので、ファーストレディーとしてアメリカをPRする意識の表れともみられる。

 かつて「ジャッキースタイル」と呼ばれるファッションで人気を博したジャクリーン・ケネディ夫人のように、ファッションで存在感を示していくかもしれない。

 アメリカ政治に詳しい北海道大学の渡辺将人准教授は「大統領一家はアメリカの文化を体現する存在。それだけに、メラニア夫人は『政治家の妻』の経験がないけれども、期待に応える努力が求められるだろう」と指摘している。


■イメージアップなるか

 今回、昭恵夫人はメラニア夫人のことを「芯のある強い女性だ」と話していたという。

 ファーストレディーは、大統領にとって最も信頼出来るアドバイザーであるだけでなく、国民にとっては大統領のイメージも左右する存在。支持率が低いトランプ大統領のマイナス面を補う存在となるのか、今後の夫人の活躍にも注目したい。