調整本格化へ…日朝首脳会談 実現は?
歴史的な米朝首脳会談から2日。朝鮮中央テレビは14日、会談の映像を初めて放送した。こうした中、日本政府は拉致問題を解決するための日朝首脳会談の開催に向けて調整を本格化させる方針。
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朝鮮中央テレビが14日午後、12日の米朝首脳会談の様子を初めて「記録映画」として放送。その「偉業」をたたえた。放送の中では金正恩委員長がトランプ大統領に外交団をひとりひとり紹介する場面の他、手振りを交えて会談をリードしているような場面も見える。日程を終え帰国した際には、多くの軍人や市民が熱烈に歓迎する様子が。北朝鮮が大々的に報じた、歴史的な1日。
この会談でトランプ大統領は金正恩委員長に対して、拉致問題を提起。トランプ大統領によれば、金委員長は拉致問題をめぐる日本との対話にオープンな姿勢を示したという。
さらに――
トランプ大統領「今後は北朝鮮の非核化と同時に拉致問題の交渉も進めていかなければならない。日本もメーンプレーヤーとして関わって欲しい」
こうした中、安倍首相は14日、拉致被害者家族と面会。
安倍首相「私がトランプ大統領に(日米)首脳会談において述べた私の拉致問題に対する考え方を、それをそのまま金正恩委員長に伝えたということであります。日本は北朝鮮と直接向き合い、この問題を解決していく決意であります」
金委員長との日朝首脳会談の実現に強い意欲を示した。
面会を終えた拉致被害者家族は――
横田早紀江さん「できるだけ早く。本当にできるだけ早く、みんなが家族のものと会える状況を待ち望んでいるということだけお願いした」
日朝首脳会談の実現に期待感を示す一方、こんな声も――
拉致被害者家族会・飯塚繁雄代表「今までなんとなく、ずるずるずるずる、だまされ続けてきた経過がある。今回はそういうことは絶対にないようにと的確な対応をしてもらいたい」
一方、ソウルでは日本、アメリカ、韓国の外相が会談。米朝首脳会談を受けた今後の対応を協議した。終了後に河野外相は――
河野外相「(日朝)首脳会談が実現されればいいというふうに考えております。これから様々な調整が行われることになろうかと思います」
日本政府は9月までをめどに日朝首脳会談を行うことを模索していて、9月にロシアのウラジオストクで開かれる国際会議の場などを利用した会談も検討している。
こうした中、さっそくある動きが。日本と北朝鮮の外務省関係者が出席したのは、モンゴルで開かれている安全保障に関する国際会議。日朝首脳会談に向けた接触はあるのだろうか。
北朝鮮外務省関係者「(Q:日本の代表の方たちと会いますか?)計画はありません。(Q:日本側から話が来れば?)会って話すこともないし、話すことはありません」
各国の代表団と談笑する場面は多く見られたが、写真撮影の際に日本と隣同士になった際には、表情は硬いまま。撮影が終わるとすぐに立ち上がり、離れて行ってしまった。
今後、中国・北京の大使館など複数の交渉ルートを通じて調整を本格化させる日本政府。首脳会談の実現にこぎつけた上で拉致問題を前に進めることはできるのだろうか。