2019年・野党の展望 安倍一強崩すには
2019年、野党にとって最大の課題は、夏の参議院選挙で自公連立政権の圧倒的優位を崩すこと。しかし、野党間の足並みの乱れは隠しきれず、先行きは不透明だ。
去年の通常国会では、財務省の決裁文書改ざん問題や裁量労働制をめぐる厚生労働省の不適切データ問題など、安倍政権を揺るがす不祥事が相次いだ。また、臨時国会では、片山地方創生担当相や桜田オリンピック・パラリンピック担当相ら、閣僚の資質も厳しく問われた。しかし、不祥事や疑惑を追及する野党の中で、特に野党第1党の立憲民主党と、第2党の国民民主党の国会戦術の違いが浮き彫りとなった。
秋の臨時国会では外国人労働者の受け入れを拡大するための改正出入国管理法への対応をめぐり、野党第一党の立憲民主党は、あくまで法案成立を阻止する徹底抗戦を主張した。
これに対し、「提案型野党」を目指す国民民主党は、対案を参議院に提出した上で、法案の採決の際には付帯決議の採択に賛成するなど、与党寄りともみられる対応をとった。
さらに、臨時国会の最終盤では、内閣不信任案について、今度は国民民主党が提出を強く主張したのに対し、立憲民主党は慎重な姿勢を貫き、ここでも両党のちぐはぐな国会戦略があらわになった。
こうした野党間の溝は、今年の夏に控える参議院選挙にも影を落としている。当選者が2人以上となる複数区で、立憲民主党vs.国民民主党という野党同士の対立構図が鮮明になりつつある。
立憲民主党の幹部は、「大事なのは、対自民党ではなく、対国民民主党だ」と言い切る。別の立憲民主党のベテラン議員も、「野党が一つになるというのは、立憲民主党と国民民主党が合併するとかじゃない。国民が消える形で立憲が一強になるということだ」と語っている。
立憲民主党としては、支持率で低迷する国民民主党に候補者をぶつけることで野党第1党としての影響力を強めることが主眼にあるというわけだ。
また、全国に32ある1人区では、立憲民主党、国民民主党、共産党など野党6党派が候補者の一本化を目指すことで一致しているが、調整は進んでいない。
共産党は、「本気の共闘にしていくには政党間の真剣な協議がどうしても必要だ」と述べ、参院選での野党同士の「相互推薦」実現に向け、野党間での協議を呼びかけている。しかし、立憲民主党幹部は「結局、共産党は自主的に候補者をおろしてくれるだろう」と思惑はすれ違っている。
こうした野党同士の対立や思惑のズレによって、結果として与党を利することになるのではとの危惧も強まっている。野党が安倍一強を崩すためには、参議院選挙での勝利が必要。
2019年、野党同士の「足並みの乱れ」や、一昨年の総選挙で生じた感情的なしこりを乗り越え、一致結束して参議院選挙に臨む体制を作ることができるかが焦点となる。