8年目の安倍政権…解散は?
第1次安倍政権を加えた通算で憲政史上最長の在職日数を更新し続けている安倍首相。任期満了まで、残り2年を切った。安倍長期政権は、歴史に残る政治的成果「レガシー」を残すことができるのか?2020年はその勝負の年となる。
安倍首相の悲願とされる「憲法改正」。自衛隊を憲法に明記し、自衛隊違憲論に終止符を打ちたい。安倍首相は、憲法改正を自民党立党以来の悲願だとして「必ずや私の手で成し遂げていきたい」と述べている。しかし、2019年も国会の憲法審査会で実質的な議論は始まらず、憲法改正の手続きを定める国民投票法改正案の採決もできなかった。
そして、安倍首相が重視する外交についても厳しい状況が続いている。ロシアとの北方領土交渉で進展の機運が高まった山口県長門市での日露首脳会談から3年あまり。
安倍首相は「プーチン大統領との間で領土問題を次の世代に先送りすることなく、必ずや、自らの手で終止符を打つとの強い意志を共有をしている」と述べているが、解決の兆しは見えていない。
また、「前提条件を付けずに実現を目指す」としている北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長との日朝首脳会談も実現の目処が立っていない。
足元では、政治と金の問題で2人の大臣が相次いで辞任。菅原前経済産業相と河井前法相は、詳しい説明をしないまま雲隠れを続け批判が強まっている。また、安倍首相主催の「桜を見る会」を巡り、疑惑は払拭されていないとして野党は追及を続けている。さらに、安倍内閣で国土交通省副大臣、内閣府副大臣を務めた秋元司議員が収賄容疑で逮捕されるなど逆風が続く。
こうした状況を打開するためにも、2020年に、安倍首相が衆議院の解散・総選挙に踏み切る可能性が指摘されている。安倍首相は、「国民の信を問うべき時が来たと考えれば解散・総選挙を断行することに躊躇はない」と述べており、決断のタイミングが焦点となる。
2020年は、春に中国の習近平国家主席が来日。4月19日には秋篠宮さまが皇位継承第1位の「皇嗣」となられたことを披露する「立皇嗣の礼」。7月5日には東京都知事選挙の投開票。7月24日には東京オリンピックが開幕するなど大きな行事が続き、安倍首相が解散カードを切れるタイミングはそう多くない。オリンピック後の景気を不安視する声もあり、安倍首相の政治判断が注目される。
2019年11月に亡くなった中曽根康弘元首相は、1982年から5年間の長期政権を担った。旧国鉄(現JR)、旧電電公社(現NTT)、旧専売公社(現JT)の3公社の民営化を断行するなど戦後政治に大きな足跡を残した。
第2次安倍政権は8年目。安倍首相はどんな足跡を残していくのだろうか。