【全文】安倍元首相の国葬費用12億円台半ば 官房長官会見(10/14午前)
松野官房長官は14日午前の会見で、先月、行われた安倍元総理大臣の国葬について、速報値で経費が12億円台半ばになったことを明らかにしました。
<会見トピックス>
▽安倍元首相の国葬費用・検証
▽北朝鮮ミサイル
▽拉致問題
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
閣議の概要について申し上げます。
一般案件等19件、法律案、政令、人事が決定されました。
大臣発言として厚生労働大臣から、自殺総合対策大綱および令和3年度我が国における自殺の概況および自殺対策の実施状況について。
国家公安委員会委員長から、令和4年警察白書について。
総務大臣から、行政相談週間の実施について、それぞれご発言がありました。
閣僚懇談会においては、河野大臣から、閣僚が出席する会議の効率的な運営について。
復興大臣から、福島復興フェア第2弾の周知および各省庁の食堂における福島県産食材の提供に関する協力依頼について、それぞれご発言がありました。
【国葬】
次に故安倍晋三国葬儀に関し、要した経費についての速報値を取りまとめましたので申し上げます。なお、この速報値については国葬儀の経費の全体像を示すため、取り急ぎまとめたものであり、正規の決算手続きを経たものではなく、今後の精査により計数の移動がありうるものであります。
まず、式典等に要した経費の速報値については 2.4億円となります。
その内訳は企画演出および警備費等の経費 1.9億円。
日本武道館の借り上げ経費等 0.5億円であります。
警備に要した経費につきましては、 4.8億円となります。
その内訳は、道府県警察からの派遣のための旅費等の部隊活動や超過勤務手当に関わる経費 2.6億円。
車両等の装備資機材や待機所の借り上げ等の装備費 2.2億円であります。
さらに接遇に要した経費の速報値については 5.1億円となります。
その内訳は海外要人の本邦滞在中の車両の手配や空港での受け入れ、体制の構築等の庁費 4.5億円。
接遇要員となる在外の外務省職員を往復させるための旅費 0.6億円であります。
このほか自衛隊の儀仗隊等の車両借り上げ費等に用意した経費の速報値については 0.1億円となります。
これらの経費を合計すると12億円台半ばとなります。
次に国葬儀における案内状発送数、参列者数について申し上げます。
案内状は国内の 6175 人の方にご送付をし、外国からの参列者 734 人を含め、合計 4170 人の方にご参列頂きました。
改めて多くの方にご参列頂きました事に感謝申し上げたいと思います。
次に警備について申し上げます。
警視庁では最大時約 2万人、うち特別派遣部隊約 2500 人で警備を実施しました。
次に今回の国葬儀の検証について申し上げます。
故安倍晋三国葬儀について、政府がどのような根拠や考え方で執り行ったのか、また国民の間でどのような議論があったか等を記録として残すこととします。このため、憲法、行政法、外交等、幅広い分野の有識者約 20 名から 30 名に対し、個別にヒアリングを実施し、意見を収集して論点を整理し、できる限り早期に公表します。
その上で総理が国会でお答えした通り、国葬儀の実施について国民各層の幅広いご理解を得る観点から、国会との関係など、どのような手順を経るべきなのか、一定のルールを設けることを目指します。
私からは以上です。
――北朝鮮が未明に発射したミサイルについて。
韓国への対抗措置だと示唆しているが、ミサイルの数など最新の分析のほか、核実験を含んだ更なる挑発行為に出る可能性の認識をお聞きする。
変則軌道で飛行した可能性のあるミサイルが多くなっていて、迎撃が難しいという指摘も出ている。政府としてはどのようにとらえ、どう対処していく考えか。
○松野官房長官
北朝鮮が本日未明に発射した弾道ミサイルについては、複数発であった可能性も含め、分析を行ってきましたが、分析を進めた結果、1発であったと推定しています。弾種等を含めこれ以上の詳細については防衛省で分析を進めているところであります。北朝鮮による個々の弾道ミサイルの発射の意図については我が方からは断定的にお答えすることは差し控えさせていただきますが、どういった狙いがあるにせよ北朝鮮が繰り返す弾道ミサイルの発射は断じて許されません。
また、昨今の北朝鮮による核ミサイル技術の進展は著しいものと認識しており、我が国及び、地域の安全保障にとって看過できません。政府としては今後、核実験の実施を含め北朝鮮が更なる挑発に出る可能性はあるものと考えており、米国等とも緊密に連携しつつ、必要な情報の収集、分析及び、警戒監視に全力を挙げていく考えであります。
北朝鮮のミサイルは我が国に飛来した場合を含め、迎撃の可否については、我が方の能力が推察され得ることから、お答えはできませんが、北朝鮮が発射する弾道ミサイルは、その発射兆候の早期把握や、迎撃がより困難になっているため、迎撃能力を高める不断の努力も重要であり、取り組みを引き続き進めていきます。また、こうした状況を踏まえ、いわゆる反撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず、検討し、今後とも防衛力の抜本的な強化に取り組んでいく考えであります。
政府としては、北朝鮮の軍事動向について、平素から重大な関心を持って情報収集・分析に努めており、引き続き、米国等とも緊密に連携しつつ、必要な情報の収集分析および警戒監視に全力を挙げていくとともに、北朝鮮の完全な非核化に向け、日米、日米韓で緊密に連携をしていく考えであります。
――国葬の費用に関して伺う。
国葬の費用に関しては式典の警備接遇など項目毎に概算が計16.6億円から下がった理由を伺う。
また検証のための有識者ヒアリングをいつから始めるかなど準備状況と論点整理の目処についても合わせて伺う。
○松野官房長官
9月6日に国葬儀に伴う警備に要する経費の見込額を公表した際には、様々な不確定要素がある中で、特に接遇を要する海外要人の想定滞在期間を前提に、都道府県警の警察官の旅費といった具体活動に関わる経費や超過勤務手当に関わる経費、車両や待機所の借り入れといった装備品として8億円程度を見込んでいたものと承知をしています。実際には海外要人の滞在日程が、国葬儀や総理等とのバイ会談を中心にするものとなり、海外要人の宿舎に同宿する警護員の宿泊費、警戒に従事する部隊員の超過勤務手当等が抑制されると共に、無償の公民館等を待機所と活用するなどした結果、事前の見込額から、総額3億円強が減少したと承知しています。詳細については警察庁にお尋ねをいただきたいと思います。接遇費に関しては様々な要因がありますが、代表的なものを申し上げれば当初の想定より接遇に要した車両の手配に関わる費用や職員旅費が当初の想定よりも減少したことであります。
有識者の皆様へのヒアリングにつきましては、安倍元総理の国葬儀に対していただいた様々な御意見御批判を踏まえ、内閣府国葬儀事務局が憲法、行政法、政治学、外交等の分析分野の学識経験者の中から、これまで国葬儀に関して意見を出されている方や、それぞれの分野で実績をお持ちの方々から、個別に意見聴取させていただきたいと考えています。意見の収集整理には、まず日程調整を行い、御意見をお聞きした上で、整理し、整理したものを御本人に確認いただくなど、一定の時間が必要であります。
相手のあることであり、現時点で具体的にいつまでに示すかをお答えすることは困難でありますが、できる限り早期にお示しをしたいと考えています。
――検証の関連で伺う。
与党の幹部の中には国葬に関する基準についても検討すべきだという意見も出ているが、そういった基準についても検討していく考えはあるか。
○松野官房長官
政府としては一定のルールについて予断を持つことなく、まずは幅広い有識者から意見を聴取し、論点を整理をしていきたいと考えています。
――細かいことで恐縮だが、紙に書いてある数字を足し上げていくと12.4億円になるが、こちらには12億円台半ばと表現されているが何か理由があるのか。
○松野官房長官
先ほど申し上げた通りでございますけれども、この速報値については国葬費の経費の全体像を示すために取り急ぎまとめたものであり、正規の決算手続きを経たものではなく今後の精査により計数の移動があり得るということから12億円台半ばという表現になっております。
――国葬経費。
当初の見込みよりも経費が抑えられたことについて政府としてどう受け止めているか。
また岸田総理が示すとされている概数値や確定値はいつごろ示されることになるのか。
○松野官房長官
これも先ほど申し上げた通りでございますが、国葬儀に要した経費は速報値で12億円台半ばとなりました。当初の見込みよりも減少した理由としては、都道府県警の警察官の宿泊費や超過勤務等の減少、接遇に要した車両の手配や職員旅費の減少等々と聞いていますが、詳細については各府省に問い合わせをいただきたいと思います。
国葬儀当日は、国内外からの多数の参列者、特に海外からも多くの要人が参列する中、適切な警備、接遇を行うことにより、厳粛かつ心のこもった国葬儀を無事に執り行うことができました。12億円台半ばの経費は国葬儀を執り行うために必要十分なものであったと考えています。
え~・・・ 日程等に関し・・・?
――岸田総理が示すとされている概数値や確定値はいつごろお示しになるか。
○松野官房長官
この速報値と大きく異なるものではないと思いますが、確定値すなわち会計検査院の検査を終えた決算値が出るのは来年秋頃となるため、委託事業者との契約の精算や人員を派遣した都道府県警察が取りまとめている経費の内容の精査等が終了した時点で、概数値をお示しをすることにしたいと考えております。
――拉致問題。
明日15日で5人の拉致被害者が帰国して20年になる。5人の帰国後、横田めぐみさんら他の被害者の帰国が叶っていない。20年を迎える所感と解決に向けた政府の取り組みについて伺う。
○松野官房長官
この20年間を経た現時点において、5人の方以外、お一人の帰国も叶わないということは誠に申し訳なく思っておりますし、痛恨の極みでございます。総理からもお話があるように、総理が直接金正恩委員長と話し合うことによってですね、この問題を解決に向かいたいと、あらゆるチャンスを逃すことなく全力で取り組んでいくということでございます。
――国葬の費用。
8月末の予備費支出の閣議決定の際に2億4940万円の支出が決まったが、今回の式典等に要した経費の2.4億円がその数字に当たるのかということと、その際の長官会見では、会場設定などに2億1000万円、借上料に約3000万円ということで発表されているが、これが今回のこの1.9億円と、0.5億円に当たる数字と考えてよろしいか。
○松野官房長官
先程申し上げたとおりでございますが、詳細に関してはですね、関係府省にお尋ねをいただきたいと思います。
――検証について、20~30人の有識者に個別ヒアリングをして論点整理をして公表するということだが、これは検証本体なのか、前段としてヒアリングをした上で検証作業は別途行われるのか。
○松野官房長官
今回ではですね、まずそのヒアリングを通して論点の整理をさせていただきまして、その論点の整理を、整理したものを、国会等にお示しをしながらご議論を進めていただきたいと考えております。