【全文】都立大切りつけ「卑劣な暴力行為断じて許されない」官房長官会見(11/30午後)
松野官房長官は、30日午後の会見で、東京都立大学の構内で大学教員が切りつけられた事件について「いかなる理由であれ、卑劣な暴力行為は断じて許されるものではない」と述べ、警察が周辺住民に注意喚起を行っていると強調しました。
<会見トピックス>
▽東京都立大学刺傷事件
▽スマートフォン割引上限
▽同性婚訴訟の違憲判決
▽薗浦議員の政治資金収支報告書過少記載
▽中国国内の抗議活動
▽防衛費の財源問題
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
冒頭発言はございません。
――都立大での刺傷事件について伺います。切りつけた男は逃走しているほか大学構内での殺傷事件は過去にも起きています。関係機関への呼びかけなど対応を伺います。
○松野官房長官
昨日、東京都立大学の構内で当該大学の教員が何者かに切りつけられるという事案が発生しました。被害にあわれた方の一日も早い回復をお祈りします。本件については現在、警察において必要な捜査が行われているものと承知をしています。このような凶悪事件は学生や周辺住民の皆さんに大きな不安を抱かせるものであり、警察ではメール配信での情報提供、自治体、教育委員会への情報提供等を通じ、周辺住民への注意喚起を行っています。また東京都立大学に対し設置者である東京都から安全確保に関する対策を指示されたほか、当該大学においてはキャンパス内の巡回、警備体制を強化したと聞いています。引き続き警察と大学関係者等が連携を図りながら更なる被害防止等のため適切に対処するものと承知しています。
――関連。今年に入って7月8日に安倍元総理が刺殺され、今回の宮台真司教授と言論に関わる方が続けて襲撃されてます。犯人の動機はどういったものであれ、こうした事件が立て続けに起こっていることについてのご所見と言論に与える影響についてお願いします。
○松野官房長官
いかなる理由であれ、卑劣な暴力行為は断じて許されるものではありません。今回の事件の与える影響については予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきますが、大学には安全管理の観点から、引き続き必要な対策を講じていただきたいと考えています。
――NTTドコモなど携帯電話大手4社が総務省の有識者会議でスマートフォンの割引額に上限を設けるルール作りを提案しましたが、受け止めと今後の対応について伺います。
○松野官房長官
現在、携帯電話市場における諸課題に対応していくための有識者会議を総務省において設置しており、きのう携帯大手4社からの意見を聴取したと承知をしています。この際、転売などの問題に対応するべく、スマートフォンの割引額について上限設定をすべきとの提案があり、今後総務省において、適切に対応するものと考えています。
――同性婚をめぐる訴訟について伺います。先ほど東京地裁は請求を棄却しつつも同性パートナーと家族になる法制度が存在しないことは憲法24条に違反する状態だと指摘しました。政府としての受け止めと今後の対応について伺います。
○松野官房長官
お尋ねの判決においては、原告らの国に対する請求は棄却されたものの、その理由中において、同姓愛者についてパートナーと家族になるための法制度が存在しないことは、憲法24条2項に違反する状態にあるが、どのような法制度を構築するかは、立法裁量に委ねられているから、婚姻に関する民法等の諸規定が憲法に違反するものではないとの判断が示されたもの承知をしています。国が勝訴をしたため、控訴することはできませんが、現段階では、確定前の判決であり、また他の裁判所に同種訴訟が継続していることから、その判断も注視してまいりたいと考えております。詳細については、所管省庁である法務省にお尋ねを頂きたいと思います。
――自民党の薗浦衆院議員の事務所が政治資金パーティーで得た収入を4000万円ほど少なく政治資金収支報告書に記載していた疑いがあると本日付の弊紙朝刊で報じています。秘書は東京地検特捜部の任意の事情聴取に過少申告と薗浦氏への報告を認めているとされていますが、今回のこの報道やこの事件の受け止めをお願いします。また、先ほど薗浦氏が記者の取材に答えましたが、説明についての受け止めと、政府として何らか対応をとる考えがあるかもあわせてお願いします。
○松野官房長官
報道については承知しています。一方、事実関係については承知しておらず、個々の議員の活動に対して政府としてお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
――中国国内全土で起きている抗議デモを抑え込むために、中国当局がデモ参加者の携帯電話をチェックしたり、一部の参加者には直接電話かけて警告を発しているケースもあると伝えられています。中国で活動する日本人、企業、また取材する日本メディアに具体的な影響があったケースはあるのか、また、あった場合の日本政府の対応方針についてお聞きします。
○松野官房長官
先日来、中国の複数の都市で新型コロナに関する当局の措置等に対するデモ等の事案が発生していると承知していますが、現時点までに今回のデモの関連で法人や日本企業に危害が及んでいるとの報告は受けていません。
政府としては、在外公館も含め、関連の情報収集および分析に努めると共に、引き続き在留邦人の保護に万全を期していく考えであります。
――防衛費の財源問題について伺います。 厚労省所管の2つの独立行政法人の積立金を返納させるかどうかを巡り、財務省と厚労省で調整しているが、難航していると言われています。総理も歳出改革に最大限の努力というふうに指示されていますが、今後のこの調整をどう図っていくか。
○松野官房長官
防衛費の財源については先日の総理指示において、まずは歳出改革に最大限努力することとされているところであります。 また有識者会議の報告書においては、過去のコロナ対策で国民の手元に届くことなく独立行政法人に積み上がった積立金の早期返納などを財源確保につなげる工夫も必要と指摘されたところです。今後、防衛費の財源については、総理指示や有識者会議の提言も踏まえつつ、与党ともよく連携しながら、防衛力強化の内容や規模と合わせて一体的に検討してまいりたいと考えております。