法改正で裏金どうなる?「政策活動費」を検証 自民党現役秘書らを直撃【バンキシャ!】
「政治とカネ」問題の中で“合法的な裏金”ともいわれる政策活動費。その巨額な領収証の時期や使い道をバンキシャ!が徹底検証しました。さらに、現役秘書らを直撃。今回の政治資金規正法の改正が、裏金をなくすことにつながるのか?ナゾの解明に迫ります。【バンキシャ!】
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31日、バンキシャが話を聞いたのは、自民党議員の現役秘書。
自民党議員の現役秘書
「自民党があそこまでよく譲歩したなっていうのは思います。しょうがないってことだと思います。やむを得ない」
岸田首相
「政治資金規正法の改正を今国会で確実に実現する。こうした強い思いから自民党として思い切った、踏み込んだ案を提示する決断をした」
政治資金規正法の改正をめぐり、公明党や野党から「改革が不十分」との批判が。岸田首相は大幅に譲歩せざるを得ない状況に追い込まれた。
譲歩した一つが、政党が議員に配る政策活動費。“合法的な裏金”とも言われてきた。
日本テレビに残された映像(1998年)には、自民党から配られた現金を手にする議員の姿が。
――その黄色いやつが?
議員
「えへへへへへ」
分厚い封筒が握られていた。
さらに別の映像(2005年)では、「政策活動費」と書かれた封筒から出てきたのは200万円の現金。これまでは、この使い道は公開しなくても良かった。
岸田首相はこうした政策活動費について、何に使ったのかを示す領収書などを、10年後に公開するよう求めていた日本維新の会と合意。
――これで“合法的な裏金”は、透明化されるのだろうか。
バンキシャは、自民党議員が党から政策活動費を受け取ったときの領収証を入手した。書かれているのは金額と日付。そして受け取った議員のサインだ。
バンキシャ
「これは7210万円? 7210万円の領収証です」
「5000万円の領収証です。初めて見ました」
期間は2020年から2022年までの3年間で、その数196枚。総額は41億2630万円に及んだ。この金額について現状は一切、使い道を公開する必要がない。
3年間で最も多く受け取っていたのは茂木幹事長。
バンキシャ
「3000万円、3000万円、3000万円……7850万円、最後は3000万円」
3年間の合計は…
バンキシャ
「12億1670万円です」
2番目は二階元幹事長で、10億6930万円。3番目は甘利前幹事長で、3億8000万円。いずれも幹事長経験者だった。
検証を進めていくと、2つのナゾが浮かび上がった。
1つ目は、「年によって金額に差」があること。それぞれの年の金額を計算してみると、2021年が最も多かった。
2つ目は・・・
バンキシャ
「1、2、3,4,5,6、7、8、9、10、11、12、13枚。12月の領収証が多いですね」
3年間で共通して多かったのは12月。これは何を意味するのか――。
バンキシャはこの2つのナゾを解明するため、ある人物に話を聞いた。自民党幹部らの秘書を長年務めた男性。自身も政策活動費2億円を運んだことがあるという。
1つ目のナゾ。なぜ「年によって金額に差」があるのか?
バンキシャ
「令和3年(2021年)が、金額が急に増えて、跳ね上がっていまして」
自民党幹部らの元秘書
「10月が多いですよね。選挙期間中ですね、これ」
金額が多かった2021年10月は、衆議院選挙が行われていた。
自民党幹部らの元秘書
「例えば500万円なり300万円なり、当落線上を戦っている候補者にお金を渡すのはあると思います。10人20人、電話をかける人を増やすとか、そういうことに(お金が)必要になってきます」
では2つ目のナゾ。「12月の領収証が多い」ことについては…?
自民党幹部らの元秘書
「餅代。暮れの挨拶」
餅代とは、年末に議員に配られる活動資金のこと。12月に領収証が多いのは、これが理由だという。
自民党幹部らの元秘書
「国会が閉会して地元に戻る前に渡されるケースが多いです。例えば暮れだったら『これで正月を越せよ』という感じで」
こうした活動資金で年末年始の会合の会費や、挨拶まわりにかかる費用をまかなう議員も多いという。
岸田首相が譲歩したのは、政策活動費だけではない。公明党の主張を取り入れたのは、パーティー券を購入した人の公開基準について。いまは購入した会社や個人の名前などが公開されるのは20万円超だが、これを公明党が求めていた5万円超まで引き下げた。
――5万円超となることで、どんな影響が出るのか。自民党議員の現役秘書に聞いた。
自民党議員の現役秘書
「企業さんの方は、できれば企業名は出したくないというところがほとんどです。そこ(企業名)を公開されるんだったら、(お金は)出せませんって言われることじゃないですかね。まあ2~ 3割は(収入が)減るんじゃないかな」
収入を維持するため、パーティーの回数を増やすこともありうるという。
――そこまでお金が必要になる理由はなんなのか。
自民党議員の現役秘書
「人件費です、秘書の。それが大きいですね。あとは地元の事務所はその地域でも(駅前や繁華街など)かなり家賃とか地価の高い所に事務所を置いているケースが多いので。その家賃にかかる計上費用はかなりだと思います」
自民党議員の現役秘書
「きれいごとを言うのは簡単なんですけど、実際かかる費用はかかる。それは私腹を肥やしているわけでもなんでもない」
バンキシャ
「政治資金規正法を改正することで裏金はなくなると思いますか?」
自民党議員の現役秘書
「どんどん収入の道を閉ざすというと変ですけど、そうなると結局、逆に裏金が増えるかもしれない。必要なものは必要なので。入り口が狭まればそうじゃない方法を考えざるを得ないかもしれない」
*6月2日放送『真相報道バンキシャ!』より
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31日、バンキシャが話を聞いたのは、自民党議員の現役秘書。
自民党議員の現役秘書
「自民党があそこまでよく譲歩したなっていうのは思います。しょうがないってことだと思います。やむを得ない」
岸田首相
「政治資金規正法の改正を今国会で確実に実現する。こうした強い思いから自民党として思い切った、踏み込んだ案を提示する決断をした」
政治資金規正法の改正をめぐり、公明党や野党から「改革が不十分」との批判が。岸田首相は大幅に譲歩せざるを得ない状況に追い込まれた。
譲歩した一つが、政党が議員に配る政策活動費。“合法的な裏金”とも言われてきた。
日本テレビに残された映像(1998年)には、自民党から配られた現金を手にする議員の姿が。
――その黄色いやつが?
議員
「えへへへへへ」
分厚い封筒が握られていた。
さらに別の映像(2005年)では、「政策活動費」と書かれた封筒から出てきたのは200万円の現金。これまでは、この使い道は公開しなくても良かった。
岸田首相はこうした政策活動費について、何に使ったのかを示す領収書などを、10年後に公開するよう求めていた日本維新の会と合意。
――これで“合法的な裏金”は、透明化されるのだろうか。
バンキシャは、自民党議員が党から政策活動費を受け取ったときの領収証を入手した。書かれているのは金額と日付。そして受け取った議員のサインだ。
バンキシャ
「これは7210万円? 7210万円の領収証です」
「5000万円の領収証です。初めて見ました」
期間は2020年から2022年までの3年間で、その数196枚。総額は41億2630万円に及んだ。この金額について現状は一切、使い道を公開する必要がない。
3年間で最も多く受け取っていたのは茂木幹事長。
バンキシャ
「3000万円、3000万円、3000万円……7850万円、最後は3000万円」
3年間の合計は…
バンキシャ
「12億1670万円です」
2番目は二階元幹事長で、10億6930万円。3番目は甘利前幹事長で、3億8000万円。いずれも幹事長経験者だった。
検証を進めていくと、2つのナゾが浮かび上がった。
1つ目は、「年によって金額に差」があること。それぞれの年の金額を計算してみると、2021年が最も多かった。
2つ目は・・・
バンキシャ
「1、2、3,4,5,6、7、8、9、10、11、12、13枚。12月の領収証が多いですね」
3年間で共通して多かったのは12月。これは何を意味するのか――。
バンキシャはこの2つのナゾを解明するため、ある人物に話を聞いた。自民党幹部らの秘書を長年務めた男性。自身も政策活動費2億円を運んだことがあるという。
1つ目のナゾ。なぜ「年によって金額に差」があるのか?
バンキシャ
「令和3年(2021年)が、金額が急に増えて、跳ね上がっていまして」
自民党幹部らの元秘書
「10月が多いですよね。選挙期間中ですね、これ」
金額が多かった2021年10月は、衆議院選挙が行われていた。
自民党幹部らの元秘書
「例えば500万円なり300万円なり、当落線上を戦っている候補者にお金を渡すのはあると思います。10人20人、電話をかける人を増やすとか、そういうことに(お金が)必要になってきます」
では2つ目のナゾ。「12月の領収証が多い」ことについては…?
自民党幹部らの元秘書
「餅代。暮れの挨拶」
餅代とは、年末に議員に配られる活動資金のこと。12月に領収証が多いのは、これが理由だという。
自民党幹部らの元秘書
「国会が閉会して地元に戻る前に渡されるケースが多いです。例えば暮れだったら『これで正月を越せよ』という感じで」
こうした活動資金で年末年始の会合の会費や、挨拶まわりにかかる費用をまかなう議員も多いという。
岸田首相が譲歩したのは、政策活動費だけではない。公明党の主張を取り入れたのは、パーティー券を購入した人の公開基準について。いまは購入した会社や個人の名前などが公開されるのは20万円超だが、これを公明党が求めていた5万円超まで引き下げた。
――5万円超となることで、どんな影響が出るのか。自民党議員の現役秘書に聞いた。
自民党議員の現役秘書
「企業さんの方は、できれば企業名は出したくないというところがほとんどです。そこ(企業名)を公開されるんだったら、(お金は)出せませんって言われることじゃないですかね。まあ2~ 3割は(収入が)減るんじゃないかな」
収入を維持するため、パーティーの回数を増やすこともありうるという。
――そこまでお金が必要になる理由はなんなのか。
自民党議員の現役秘書
「人件費です、秘書の。それが大きいですね。あとは地元の事務所はその地域でも(駅前や繁華街など)かなり家賃とか地価の高い所に事務所を置いているケースが多いので。その家賃にかかる計上費用はかなりだと思います」
自民党議員の現役秘書
「きれいごとを言うのは簡単なんですけど、実際かかる費用はかかる。それは私腹を肥やしているわけでもなんでもない」
バンキシャ
「政治資金規正法を改正することで裏金はなくなると思いますか?」
自民党議員の現役秘書
「どんどん収入の道を閉ざすというと変ですけど、そうなると結局、逆に裏金が増えるかもしれない。必要なものは必要なので。入り口が狭まればそうじゃない方法を考えざるを得ないかもしれない」
*6月2日放送『真相報道バンキシャ!』より