「旧優生保護法」訴訟 国に賠償命じる判決、最高裁に上告の方針 松野官房長官
「旧優生保護法」のもと不妊手術を強制されたとして札幌市の男性が国を訴えていた裁判で、札幌高裁の国に賠償を命じる判決について、松野官房長官は最高裁判所に上告する方針を明らかにしました。
旧優生保護法のもと、札幌市の81歳の男性が19歳の時に不妊手術を強制されたとして国を訴えていた裁判で、札幌高裁は国に1650万円の支払いを命じる判決を言い渡していました。
松野長官は上告期限の30日、「最高裁の判断を仰ぐため、上訴せざるを得ない」と上告する方針を明らかにしました。
松野長官はまた「この法律の存在を背景として、 特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてこられたことについては、政府として真摯(しんし)に反省し、心から深くお詫びする気持ちに いささかの変わりもない」と述べました。
上告理由について松野長官は「除斥期間」の適用について論点があると指摘しました。
「除斥期間」とは、不法行為から20年がすぎると損害賠償を求める権利が消滅する民法の規定で、この裁判では「除斥期間」の適用の是非が争点となっています。
旧優生保護法をめぐる裁判で、国の賠償責任を認めた判決はこれまでに7件あり、政府は、判決によって、「除斥期間」の扱いにばらつきがあり、「法的整理が必要」との考えから、上告したものです。