旧優生保護法訴訟 国の賠償責任認めず
旧優生保護法により不妊手術を強いられたとして、兵庫県内に住む5人が国に損害賠償を求めていた裁判で、神戸地裁は、国の賠償責任を認めず、原告の訴えを退けました。
訴えていたのは、兵庫県内に住む聴覚障害や脳性麻痺などがある5人です。
旧優生保護法は、1948年からおよそ50年間、病気や障害などを理由に、本人の同意を得ず不妊手術を行うことを認めていました。原告らは、この法律のもとで不妊手術を強いられたとして、国に合わせて5500万円の損害賠償を求めていました。
3日の判決で神戸地裁は、旧優生保護法を「極めて非人道的だ」と非難し、「憲法の理念に反することは明らか」だと述べ、憲法に違反すると判断しました。
しかし、壁となったのは20年で賠償請求できる権利が消える「除斥期間」です。神戸地裁は、手術から20年以上経っていることを理由に、国の賠償責任は認めず、原告の訴えを退けました。
旧優生保護法をめぐる判決は全国で6例目ですが、いずれも原告側の敗訴となりました。
原告・小林宝二さん(89)「優生保護法という間違った法律があったことを(最近になって)初めて知った。私たちに情報が入ったのは非常に遅かった。それなのに(提訴が)遅すぎるというのは我慢ができません」
神戸地裁は、5人に損害賠償を請求する権利があったこと自体は認めているだけに、20年という法律の壁を越えられるのは、国の適切な対応しかありません。