当事者の今の思い「夫婦別姓」憲法判断へ
夫婦別姓をめぐり、最高裁大法廷が今月23日、憲法判断を示す見通しだ。夫婦別姓での婚姻届の受理を求め、申し立てを行った当事者の事実婚夫婦は「画期的な決定を」と期待を込め、今の心境を明かした。
■「夫婦別姓」最高裁が憲法判断へ
2018年、都内の事実婚の夫婦3組は、市役所などに夫婦別姓を希望する婚姻届を出したところ、不受理となった。このため、婚姻届の受理を求め、3組は東京家裁などに申し立てを行った。
しかし、一審、二審ともに主張は認められず、去年12月以降、最高裁大法廷で書面での審理が続けられてきたが、今月23日に決定が出されることが決まった。夫婦別姓を認めない現在の民法や戸籍法の規定について、憲法判断が示される見通しだ。
最高裁の決定を前に、当事者は今、何を思うのか――
実際に申し立てを行った3組のうちの1組、有本信さん(仮名・40代)、真島幸乃さん(仮名・40代)が日本テレビの取材に応じた。
■「自分の名前でいること当たり前」
――最高裁の決定が出されることが決まりました。
真島幸乃さん
「(最高裁の)判断が出るという一報を聞いて、子供じゃないですけど、心がはやってしまって、寝られなくて今朝方寝ました」
(今月19日取材)
<夫婦別姓での結婚を望み、20年前に事実婚を選択した真島さんと有本さん。真島さんは訪問看護師、有本さんは会社員として働いていて、都内で子供3人と暮らしている。>
――名字を変えたくない理由は?
真島幸乃さん
「私からすると、変えたい人には理由があって、自分が自分の名前でいることって本来『何でなの?』と聞かれることでもなく、当たり前のことだと思うんですね」
「自分を表してきた名前だし、それで人とも繋がってきて、社会にもその名前で認識されてきたという経過があって、結婚する20代後半まで生きてきた中で、その名前が当たり前ということが大きいです」
「名前は私にとっては自分を表すそのものです」
――事実婚で不便だったことは?
真島幸乃さん
「改姓をしていないことで、日常生活でほとんど困ることはないんですね」
「事実婚は夫や子供が病気になった時に、法律上の配偶者でないのに承諾書が書けるかどうかの保証がないとか、親権者じゃないけどサインが書けるかという保証がない」
「病気やケガなど、人生の中でいろいろなことが起きた時に、とてもリスキーな関係ではあると思っています」
――3人の子供の名字は?
真島幸乃さん
「子供たちは全部、夫の名字でそろえています」
「学校には夫婦別姓のため、事実婚でいるというのは、学年の最初に家族の名簿を出す時にメモして、個別面談の時には、『実の母だし、実の父です』ということを話しているので、特に混乱はないです」
■婚姻届に記入「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
<2018年、夫婦別姓を希望する形で婚姻届を記入し、市役所に提出するも、「規定違反」として不受理となった。このため、婚姻届の受理を求め、東京家裁立川支部に家事審判を申し立てたという。>
――提出した婚姻届の内容は?
真島幸乃さん
「『婚姻後の夫婦の氏』として、今の規定では夫婦どちらかにチェックを入れるんですけど、私たちは両方にチェックを入れて、『夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します』ということを書いて提出しました」
――婚姻届が不受理となったことについては?
真島幸乃さん
「今の規定が、(夫婦の姓の)どちらかを選べという規定なので、受理されないんだと思うんですけど、20年前に結婚式を挙げて、一緒に稼ぎも家事も育児も2人でいろいろな方の協力も得ながら、二人三脚でやってきた中で、築いてきた家庭、夫婦としての実績が、規定違反ということで法的には認められないんだということに、本当に憤りというか、むなしさというか、分かってはいるけれど、こたえるなということはありますね」
<最高裁は2015年、夫婦別姓を認めない民法の規定について「合憲」との判断を示した。夫婦別姓をめぐり、今回、2度目の憲法判断が示される見通しだ。>
――最高裁の憲法判断に対する思いは?
真島幸乃さん
「2015年の時にも合憲という判断があって、6年でどれだけ社会が変わってきたか。それを短いと感じる人もいれば、一日千秋の思いで待っている人にとっては、6年という期間で結婚を諦めた方もいるでしょうし、出産を諦めた方などもいるでしょう。6年経って大法廷という形で判断が下されるのであれば、画期的な決定を心待ちにはしています」
――夫婦別姓の婚姻届が受理されるということになったら?
「もう即刻役所に飛んで行って、出すと思います」「そのくらい待ち望んでいる人がほかにもいます」