衆院選「白票」ツイート増、白票に意味は?
今月31日に投開票される4年ぶりの衆院選、すでに期日前投票も始まっています。投じられた票のうち、無効として扱われる票のひとつに白紙投票=「白票」があります。白票を投じることに意味や影響力はあるのでしょうか?
■一昨年の参院選でも「白票」話題に、賛否分かれる
2019年の参院選では、ある俳優が白票に関するツイートをしたことをきっかけに、ネット上で「白票」が話題となり、白票を投じることについて「無効票になるだけで意味がない」という声がある一方、「託せる候補者がいないという意思表示」という意見もあり、賛否が分かれました。
■今回の衆院選でも・・・
今回の衆院選でも31日の投開票が近づくにつれ、ツイッター上で「白票」「白紙投票」を含むツイートが増加傾向にあります。
「いくら若者が投票に行っても白票は無駄です」「誰にも入れたくないなら白票でもいいので、選挙に行ったという記録を残しましょう」
このように「白票」を巡るツイートは、衆議院が解散した今月14日から1週間で2万件以上投稿されています。(リツイート含む)
■白票は無効票も投票率にはカウント
白票とは、投票用紙に何も書かずに投じられた票のことです。
衆院選の場合、公職選挙法第68条で規定される、「公職の候補者の何人を記載したかを確認し難いもの」(小選挙区)「衆議院名簿届出政党等のいずれを記載したかを確認し難いもの」(比例代表)に該当し、無効投票=無効票とみなされます。投票自体をしない棄権とは異なるため、投票率にはカウントされます。
■大阪では無効票の6割が白票だった選挙も
前回(2017年)の衆院選の小選挙区では、白票も含め「候補者以外の氏名を書いた」「二人以上の氏名を書いた」などの無効票が、全国で全体の2.68%にあたる152万8,764票投じられました。
無効票の内訳を公開している大阪市では、小選挙区での無効票のうち6割以上が白票でした。
(※無効票55,877票のうち白票35,696票)
■棄権より白票、ただし影響を与えるほどの存在にはなりづらい
選挙で白票を投じることについて、専門家に話を聞きました。
選挙制度に詳しい神戸大学大学院の品田裕教授は、「投票に行くのであれば、たとえ消去法や大まかな印象でもいいので、候補者の中から投票先を選ぶのが最善。ただ、投票に行かずに棄権するくらいであれば、白票であってもまずは票を投じた方がいい」という見解を示しました。
そもそも白票を投じるかどうかは個人の自由とした上で、なぜ白票を投じるのかをよく考えるべきと強調。品田教授は、「無効票になることは理解しつつ、“現状に不満はあるが、別の候補も好ましくなくどうしても選べない”など、自分なりに意思を持って白票を投じるのであれば、それは構わないのでは」と話しました。
実際には白票が増えたとしても、有効投票ではないため候補者の当落を左右することはないものの、考えられる影響はあるかとの問いには、「白票の数が全体の1~2割に及ぶ事態になれば、政治家の活動にも影響を与えるかもしれないが、実際には起きづらい。白票が政治を動かすにはよほどのインパクトが必要だ」と語りました。
■白票が議論の種になる可能性
同じく選挙制度に詳しい城西国際大学の鈴木崇弘特任教授は、候補者から選んで投票することが重要だとしながらも、「白票が増えることによって議論の種になり得る。数が増えれば増えるほど話題になり政策に影響を与えることもできる」と話し、白票にも一定の意味があると指摘しました。
■続く20代の低投票率・・・
直近の3回の衆院選では、20代の投票率が30%台と低迷を続けていて、品田教授と鈴木特任教授はともに「白票を投じるかどうかよりも、まず投票に行くことが重要」と指摘しました。
「選挙において白票は、投票そのものを放棄したのと同じ」「たとえ白票でも政治へ関心がある意思表示になるから意味はある」
若者の利用者が多いSNSでこうした「白票」を巡る投稿が増えるなか、若者の投票行動の行方が注目されます。
※ツイート数分析「User Local ソーシャルインサイト」