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ガーシー議員の懲罰どうなる?…“水ぶっかけ”“乱闘”など過去の懲罰事案は【懲罰プレイバック】

2023年2月8日 11:59
ガーシー議員の懲罰どうなる?…“水ぶっかけ”“乱闘”など過去の懲罰事案は【懲罰プレイバック】

NHK党・ガーシー議員が未だ国会に登院せず、懲罰委員会にかけられることが決まった。これまでの懲罰事案を振り返ると、本会議場の演壇からの“水かけ事件”や、法案採決での“乱闘”など様々。怒れる議員たちの懲罰事案をプレイバック。

■“懲罰”でどうなる?

「国会で寝てるおっさん議員全員叩き起こしますから!」

当選時、こう意気込んでいたNHK党・ガーシー参議院議員。しかしその後、帰国することはなく、国会には一度も姿を見せていない。

国会法には、国会召集日から7日以内に国会に来なければ、議長が登院を求める「招状」を出せるとの規定がある。さらに「招状」を受け取ってから7日以内に国会に来なければ、懲罰委員会にかけられ、最終的には本会議で懲罰の内容を決定することになる。ちなみに現在の参議院懲罰委員長は、日本維新の会の鈴木宗男議員だ。

国会の懲罰には軽い順に、以下の4段階がある。

▽戒告
▽陳謝
▽一定期間の登院停止
▽除名

「除名」とはすなわち、国会議員をクビにすること。ただし、選挙で国民に選ばれた“国民の代表”を辞めさせることは非常に重く、過去、除名となったのは2例のみ。しかも70年以上前のことだ。

■演壇から“水ぶっかけ”で登院停止25日間

もう少し近年の懲罰事案で言えば、「前代未聞」と大問題になったのが“水かけ事件”だ。

2000年11月20日、当時の森内閣に対する不信任決議案が衆議院に提出され、保守党の松浪健四郎議員(当時)が反対討論に立った。松浪氏は元アマチュアレスリングのチャンピオンで、その髪型から“チョンマゲ議員”とも呼ばれた人物。反対討論の最中に野次を飛ばした野党議員に激高した松浪氏は、あろうことか、演壇の上からコップの水をぶちまけたのだ。野党側が猛然と抗議する中、松浪氏は議長に退場を命じられ、国会は大混乱となった。

この水かけ行為により、松浪氏は25日間の「登院停止」に。「なんでこんなアホなことをしたかと。反省している」などと語った。

■委員長を“羽交い締め”で登院停止30日間

国会では与党側による強行採決の際、与野党が“物理的に”もみ合いになるケースがままある。

2007年5月30日。いわゆる「消えた年金」問題で、年金の支給漏れに対する請求権の“時効”を撤廃する救済法案が、衆議院の厚生労働委員会で採決された。法案は前日に国会に提出されたばかりで、たった1日しか審議されておらず、野党側は「審議が不十分な上、根本的な救済にならない」として反発していた。

しかし与党側は強行採決に踏み切る。この時、当時民主党だった内山晃議員は、委員長を“羽交い締め”にして採決を阻止しようとし、この行為が「品位を欠いている」として30日間の「登院停止」となった。これに対し内山議員は「国民の不利益につながる法案に抗議したもので恥じる事はない」と反論した。

■1950年代には“乱闘”頻発…議長席占拠も

こうした“乱闘”が頻発していたのが1950年代半ばから60年の安保改定にかけてだ。

1954年6月3日、現在のような都道府県警察を設置することなどを盛り込んだ警察法改正案を成立させるため、当時の吉田茂内閣は国会の会期延長を決めた。これに社会党を中心とした野党が反発し、本会議での採決を阻止すべく、議場の入口を封鎖。議長席を占拠するに至る。封鎖を解除しようとした与党側と乱闘になり、議長が警察の出動を要請する事態となった。この乱闘で50名の負傷者が出たという(国会図書館HPより)。この“乱闘”により、多くの議員が30日間の「登院停止」となった。

■本会議場で「垂れ幕」…制止に従わず

一方、法案への抗議として、本会議場の壇上で垂れ幕を掲げ、懲罰委員会への付託が決まったケースもある。当時の自由党の山本太郎、森ゆうこ両参院議員、参院会派「沖縄の風」の糸数慶子参院議員の3人だ。

2018年7月20日。カジノを含むIR=統合型リゾート整備法案の採決が行われた参議院本会議。野党などは「ギャンブル依存症が蔓延する」などと強く反対していたが、与党側が押し切り、会期末ギリギリの採決となっていた。

この時、山本太郎氏らは壇上で「カジノより学校にエアコンを!」「カジノより被災者を助けて!」などと書かれた垂れ幕を掲げ、「売国法案反対」などと叫び、議長に制止されてもやめなかった。このため、懲罰委員会への付託が決まったが、会期末まで時間がなく、審議にかけられることはなかった。

■「除名」になったのはどんなケース?

冒頭に触れた、過去に2件しかない「除名」は、1951年の共産党・川上貫一衆議院議員と1950年の親米博愛勤労党・小川友三参議院議員だ。

まず川上氏のケースだが、1951年の日本はまだアメリカの占領下にあり、サンフランシスコ平和条約が締結されたのが同年9月だ。川上氏は1月に行われた本会議で演説に立ったのだが、その内容が「共産党の宣伝を行い、ことさらに占領国たるアメリカを誹謗し、虚構捏造の事実を流布した」と批判され、懲罰として2番目に軽い「陳謝」を求められた。しかしこれを拒否したことで「除名」されたものだ。

一方、親米博愛勤労党の小川氏だが、予算案に対して本会議で反対の討論をしたにもかかわらず、採決では「“博愛の精神”をもって賛成票を投じた」(本人談)。この行為に対して批判が高まり「除名」となった。



懲罰の内容は、懲罰委員会での審議を経て本会議での採決をもって決定される。問題となった行為そのものに加えて時代背景などにより、懲罰の軽重は変わってくるが、前代未聞の「国会に来ない国会議員」に対して、議会はどのような決定をするのだろうか。

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