「103万の壁」引き上げに正式決定 引き上げる幅はこれから 「年収の壁」ほかにも期待の声が
自民・公明の与党と国民民主党は、年収「103万円の壁」を引き上げることを、石破政権の経済対策に明記することで合意しました。
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自社製造クラフトビールが売りだという、都内のバル。そこで働いているアルバイトの学生たちには“ある悩み”がありました。
──いくらを意識して働いている?
学生アルバイト(20)
「(壁が)103万円なので、100万円いくかいかないかくらい」
気にしていたのは、年収が103万円を超えると扶養している親などの控除がなくなり税金が増えることから、“働き控え”をせざるをえない「103万円の壁」です。
学生アルバイト(20)
「超えないギリギリのラインを攻めたりしています。ちょっと規制しないと危ない。超えそうになっちゃいます」
103万円を超えることを、親からも止められるといいます。
学生アルバイト(20)
「お母さんに明細みたいなのを見せて『次の月はもうちょっと抑えようね』みたいな話したりはします」
別の学生アルバイトも…
学生アルバイト(20)
「親の方から『超えないように』 (言われる)。働きたいのに働けないので(上限)103万円だと全然足りない」
この状況が、これから変わるかもしれません。
学生アルバイト(20)
「『年収の壁』が上がる上がらないというのがTikTokで回ってきて…」
「103万円の壁」の引き上げを掲げたのが、玉木代表率いる国民民主党。
国民民主党 玉木代表
「103万円の壁を上げないと、いくら最低賃金が上がっても上限があって稼げないから、われわれ178万円まで無税で働けるようにするので、もっと稼いでください」
先月の衆議院選挙で躍進しました。
政策実現に向けて自民・公明の与党と、5回にわたる協議を重ねた結果…
自民党 小野寺政調会長
「いわゆる『103万円の壁』については、令和7年度税制改正の中で議論し、引き上げる」
20日、「103万円の壁」の引き上げが正式に決まりました。
国民民主党 浜口政調会長
「引き上げると言い切っていただいた。このことは、高く評価していきたい」
「103万円の壁」引き上げは決まったものの、具体的に引き上げる幅についてはこれからです。
関係者によると、仮に国民民主党が主張する178万円まで基礎控除などを引き上げた場合、国と地方であわせて7兆6000億円ほどの税収が減ると政府は試算しています。
壁はどこまで動くのか。今後、3党の協議で年末までかけて議論されることになります。
玉木代表は、自身のXで…
国民民主党 玉木代表のXより
「ついに『壁』が動きました。でもまだ数センチ。勝負はこれから」
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さらに、冒頭に登場した都内のバルが気にしているのは「103万円の壁」だけではありません。
ハネダスカイブルーイング 大屋幸子社長
「103万円も106万円の社会保障の話も、もうちょっと融通がきくような金額の設定で動いてくれたらなと」
年収が106万円を超えると、勤務先の規模にもよりますが、主婦などは新たに社会保険への加入が義務づけられ、保険料を支払う必要が出てくる「106万円の壁」。
ハネダスカイブルーイング 大屋幸子社長
「人材探しで時給もどんどん、価格競争じゃないが上げて採って、社会保険料も(企業が負担)となると、持ちこたえられなくなる」
この壁をなくすかどうかなど、厚生労働省の部会で議論されています。
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都内のコールセンターでパートタイムで働く進麻依さん(30代)も「壁」にぶち当たり“働き控え”をしているひとりだといいます。
「壁」気にしながら働く 進麻依さん(30代)
「極力100万円を超えないように。それを意識してシフトを組んで出しています」
夫と息子との3人で暮らし。今年、子どもが小学生にあがり少し楽になったため、もっと働きたいという気持ちがあるといいますが…
「壁」気にしながら働く 進麻依さん(30代)
「普通に働いたらもう無理だ、どうしようとか、これ以上、出勤日数入れない方がいいのかなとか、働けるのにそこで調整しなくちゃいけないっていう」
本音ではどれくらい働きたいか、聞くと…
「壁」気にしながら働く 進麻依さん(30代)
「120万~130万円くらいまで仕事して稼いでいきたいなというところで、(壁で)働けないっていう」
20日に決まった「壁」の引き上げは、周りも気にしているといいます。
「壁」気にしながら働く 進麻依さん(30代)
「たくさん働きたい人は大勢いると思いますので、ぜひ答えが出るといいなと思います」
(11月20日放送『news zero』より)