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【全文】北朝鮮の長距離戦略巡航ミサイルの試験発射「被害報告なし」官房長官会見(10/13午前)

2022年10月13日 14:32
【全文】北朝鮮の長距離戦略巡航ミサイルの試験発射「被害報告なし」官房長官会見(10/13午前)

松野官房長官は13日午前の会見で、北朝鮮が戦術核運用部隊に配備された長距離戦略巡航ミサイルの試験発射を実施したと発表したことを受け、現時点で被害の報告等の情報は確認されていないと明らかにしました。

<会見トピックス>
▽国連決議

▽アメリカの安保戦略

▽北朝鮮の軍事動向

▽ウクライナ支援

▽ウクライナ議員団の来日

▽政務3役の資産報告の訂正

▽保育士配置基準の見直し

▽円安

▽企業物価指数

会見の概要は以下の通りです。

○松野官房長官
私からの冒頭発言はございません。

―― 国連決議について。

国連総会で、ロシアによるウクライナ4州の一方的な併合を非難する決議を採択しました。

ロシアの軍事侵攻以後、ロシアに対する決議では最も多い143か国が賛成した一方で、5か国が反対、35か国が棄権と国際社会の足並みの乱れが続いていますけれども、日本政府の受け止めを。

○松野官房長官
現地時間12日、安保理決議案へのロシアの拒否権行使を受けて開催された国連総会の緊急特別会合において、ウクライナの領土一体性及び国連憲章の原則の擁護に関する決議が143票の賛成票を得て採択されました。

本総会決議は、ウクライナ国内における住民投票と称する行為、及びロシアによるこれらの地域の併合の違法な試みを非難し、その無効を宣言すること等を内容としています。

143票の賛成票は、3月2日のいわゆるウクライナ侵略決議の141票、3月24日のいわゆるウクライナ人道決議140票を上回るものであります。

国連総会として、国連憲章の原則と目的を守る強い意思を表明したものと受け止めており、これを歓迎します。

日本としては共同提案国入りし、賛成票を投じました。

我が国は力による一方的な現状変更の試みを決して看過せず、引き続きG7をはじめとする国際社会と連携して、ロシアに対し、即時に侵略を停止し、部隊をロシア国内に撤収するよう改めて強く求めていきます。

また、引き続き、安保理及び国連総会の動向を強い関心をもって注視をしていきます。

――北朝鮮の軍事動向について、北朝鮮は金正恩委員長立ち会いの下、長距離巡航ミサイルの発射に成功したと報じた。

日本にとって新たな脅威だとの指摘もあるが、把握している状況と政府見解を伺う。

北朝鮮はこうした核ミサイル開発を継続しているが、核実験に向けた更なる挑発行為に踏み切る可能性についての認識と、警戒監視など今後の対応は。

○松野官房長官
本日、北朝鮮は戦術核運用部隊に配備された長距離戦略巡航ミサイルの試験発射を昨日実施した旨公表したと承知しております。

北朝鮮の軍事動向については平素から、重大な関心を持って情報収集分析に努めていますが、事柄の性質上、個々の具体的な情報の内容についてお答えすることは差し控えさせていただきます。

その上で北朝鮮の発表によると、当該ミサイルは射程が2000キロメートルにも及ぶと承知しており、これらが事実であるとすれば、地域の平和及び安全を脅かすものであり、我が国としては懸念を有している所であります。

なお、現時点において我が国の排他的経済水域や領域への飛来は確認されておらず、また、関係機関から被害の報告等の情報は確認されていないと承知をしています。

政府としては、今後、核実験の実施も含め北朝鮮が更なる挑発行為に出る可能性は、あるものと考えており、北朝鮮の軍事動向について引き続き、米国、韓国等と緊密に連携しながら必要な情報収集分析及び警戒監視に努めていきます。

――ウクライナ議会の議員団が15日に日本を訪問するとの一部報道があります。

政府関係者との面会などの事実関係と、来日される場合の意義について考えをお聞かせください。

○松野官房長官
日ウクライナ友好議連に所属する議員からなるウクライナ最高議会の議員団が、今月15日から訪日予定と承知をしています。

政府関係者等との面談は調整中であります。

我が国は祖国を守ろうと懸命に行動するウクライナの国民と共にあり、これまで累次にわたる首脳電話会談、外相会談などでこうした連帯を示してきているところであります。

今般の訪日が連帯がさらに強化される機会となることを期待をします。

――政務三役の資産報告の訂正について。

昨日、寺田総務大臣が資産報告について貸付金なしから1250万円に訂正し、金子財務政務官は資産公開について建物や土地の記載漏れがあったと訂正している。

両氏ともミスだったということだが、いずれも週刊誌から取材を受けた後に訂正を行っている。

対応は適切だったか。

長官は両氏から報告を受けているのか伺う。

○松野官房長官
ご指摘の週刊誌の記事については承知しています。

本件については事務方を通じて報告を受けており、寺田大臣、金子政務官においてはそれぞれ指摘されている資産報告について訂正するなど適切に対応しているものと承知しています。

――ウクライナの支援について。

ウクライナ国営メディアの報道によると、コルスンスキー駐日ウクライナ大使は日本との間で発電機や暖房機材の提供について協議を行っていると発言した。

調整状況や他にも追加支援を行う予定があるのか。

○松野官房長官
日本はこれまで、ウクライナおよびその周辺国等、影響を受けた関係国に対し約11億ドルの人道、財政、食料関連の支援を表明し越冬支援を含め順次実施をしています。

今後とも国際社会と連携しつつ、人道および復旧支援について積極的に役割を果たしていきたいと考えています。

――アメリカの国家安全保障戦略について。

アメリカが公表した国家安全保障戦略では、ロシアを差し迫った脅威と位置づけ、中国に打ち勝ち、ロシアを抑制することを課題に据えました。

加えて沖縄県尖閣諸島が日米安保条約の適用対象だと明記しました。

今回の米国の安保戦略の評価と、年末までに政府が策定する安保3文書への影響について見解を伺う。

○松野官房長官
現地時間10月12日、米国政府は新たな国家安全保障戦略を公表したと承知をしています。

今般、米国が公表した新たな国家安全保障戦略は、国際社会が直面をしている戦略的な競争や各国に共通の地球規模課題に対して、米国がリーダーシップをとりながら、日本を含む同盟国、同志国と連携しつつ対応していく考えを示したほか、自由で開かれたインド太平洋の推進や、日本防衛への揺るぎないコミットメントを再確認しており、政府として高く評価します。

ご指摘の新たな国家安全保障戦略等の策定への影響に関して言えば、日米両国間では日頃から戦略や政策をすり合わせるために緊密に連携してきており、その方向性は一致していると考えています。

――保育士の配置、配置基準について伺う。

昨日静岡県牧之原市の認定こども園の送迎バスに置き去り死亡事件を受けて、安全装置の義務化などの緊急対策を取りまとめた。

ただ、問題の本質としては恒常的な現場での人手不足を指摘する声も大きいが、現在の基準は適正か。

保育士の配置基準の見直しの必要性についてはどのようにお考えか、見解を伺う。

○松野官房長官
昨日取りまとめられた緊急対策は子供のバス送迎安全徹底に関するものであったと承知をしています。

一方で、幼児教育、保育の質の向上のためには、保育や幼児教育の人材確保に対する支援は大変重要な課題と考えており、3歳児に対する職員の配置改善に関し、平成27年度から取り組んでいるところと承知をしています。

引き続き、関係府省が連携し、保育士、幼稚園教諭等の人材確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

――円安について伺います。

今日の東京外国為替市場の円相場は先月政府日銀が市場介入を行った水準を超えてさらに円安が進んでいます。

G7として為替市場の激しい変更に懸念を示す声明も新たに発表されましたけれども、日本政府としての今の円安水準についての認識と、再度市場介入に踏み切る可能性について伺います。

○松野官房長官
昨日、G7財務大臣中央銀行総裁会議が開催され、会議後に 出された声明では、為替に関し多くの通貨がボラティリティーの増加を伴って大幅に変化したことを認識しつつ、為替相場のコミットメントを再確認したと承知をしています。

G7等については鈴木財務大臣が現地で記者会見を行う予定であり、私からは詳細を差し控えたいと思います。

日々の為替相場の動きについて逐一コメントすることは差し控えますが、いずれにせよ、引き続き為替市場の動向を高い緊張感を持って注視するとともに、過度な変更に対しては適切な対応をとりたいと考えています。

――企業物価指数について。

先月の速報値は前の年の同じ月と比べて、10%近く上昇していて、2020年平均を100とした水準で1163と過去最高となりました。

これについての受け止めと、商品への価格転嫁が進めば、物価上昇が賃金の上昇を上回る状況が続くことも予想されますけれども、どのような対策を講じていく考えか伺います。

○松野官房長官
本日公表の 9 月の企業物価指数によれば、国内企業物価は前年同月比9.7%となりました。

これは原油等の輸入物価が高い水準で推移してきたことにより、事業用電力などの価格が上昇したものと承知しています。

消費者物価についても、足元では国民生活に欠かせない食料品とエネルギー価格を中心に物価が上昇しており、こうした価格上昇から国民の生活を守っていく必要があると考えています。

このため、政府としては先般取りまとめた物価高騰に対する追加策等を速やかに実施し、食料品やエネルギー等の価格高騰の抑制や特に影響の大きい低所得層への支援、地域実情に応じたきめ細やかな支援などを進める考えであります。

さらに間を置かず、10月末を目途に総合経済対策を策定し、電気料金負担の激変緩和措置などの物価高騰対策とともに、構造的な賃上げに向けて人への投資の抜本的強化と成長分野への労働移動を同時に推進する対策等を盛り込み、国民生活や事業活動を守り抜いていく考えであります。