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【解説】キックバック“再開の経緯”解明は? 参議院で史上初の政治倫理審査会

2024年3月14日 20:15
【解説】キックバック“再開の経緯”解明は? 参議院で史上初の政治倫理審査会

14日、初めてとなる参議院の政治倫理審査会が行われました。安倍派議員へのキックバックの再開の経緯などは明らかになったのでしょうか。政治部官邸キャップの平本典昭が解説します。

■キックバック“再開”の経緯は?

藤井貴彦キャスター
「政倫審で何が明らかになったのか、そして、明らかにならなかったのか。3つのポイントについて政治部官邸キャップの平本典昭と話を進めていきます。ポイントは3つで、1つ目は『キックバック“再開”の経緯は?』、2つ目が『選挙イヤー“優遇措置”の真相は?』、3つ目が『安倍派幹部に“痛烈”批判』です。1つ目の『キックバック“再開”の経緯』は明らかになったんでしょうか?』

政治部・官邸キャップ 平本典昭 
「これは明らかになりませんでした。キックバックは安倍元首相が一度中止を決めましたが、その後、再開されました。これが、誰の指示だったのかが今、最大の謎ですが、これまで幹部の間でも説明が食い違っていました。そのため、この幹部会に同席していた世耕氏の発言に14日、注目が集まりました。世耕氏は『8月の会合では決まっていない』『再開を誰が決めたかわからない』と繰り返しました。そして、最後は『むしろ私自身が知りたいんだ』と開き直るような場面もありました。結局、経緯は14日も不明なままとなっています」

■「わからない」繰り返す世耕氏 安倍派幹部に内部から批判も 

藤井キャスター
「2つ目の『選挙イヤー“優遇措置”の真相は?』は明らかになったんですか?」

平本キャップ
「これも14日には明らかにはなっていません。14日に弁明に立った橋本聖子参議院議員の3年間分のキックバックの額は、2018年が202万円、2019年が1566万円、2020年が289万円と、2019年の額が多いんですが、2019年は橋本氏の選挙の年だったんです。参議院では、選挙イヤーはパー券の販売ノルマがなく、売ったものは全てキックバックするという『優遇措置』がされていました。この点について野党側は世耕氏を追及しました。世耕氏は参議院の安倍派議員のグループのトップで決定に関与したのではとみていたわけです。これに対して世耕氏は『わからない』と繰り返し、最後は『私に相談がなく勝手に決まっていたこと』と不快感を示す場面もありました。この“選挙優遇”措置の真相もわからないままでした」

藤井キャスター
「200万円台から急に1000万円を超えてくるようなお金になってくるので、なにか優遇措置があったのではないかとみるのが自然な流れではあります」

「3つ目の『安倍派幹部へ身内から厳しい目』、これはどうだったのでしょうか?」

平本キャップ
「これが14日に唯一わかったことなのかなと思います。安倍派幹部に対して内部から厳しい目が向けられているという実態です。政倫審に出席した安倍派の西田議員は、安倍派幹部の責任について『重大で、全く果たしていない』と痛烈に批判しました。大事なのは、この意見は西田議員1人では決してないといえるということです。終了後、ある安倍派議員の若手に話を聞くと、『中堅・若手の怒りを西田議員は代弁してくれた』と話しました。取材をしていると、中堅・若手から『幹部のひとごと感はあり得ない。責任をとるべき』という声を多く聞きます。ただ、公の場で上層部批判する議員は少なく、西田氏の発言はそうした声を代弁した形です」

藤井キャスター
「西田議員が政倫審に出席したもともとの経緯はなんですか?」

平本キャップ
「西田議員は今回でいいますと、安倍派幹部以外では初の出席となりました。14日も西田議員は『自分がこの不記載になった経緯をしっかり説明することで自分の政治責任を果たしたい』と話しました。この政倫審というのは、自分が手を上げれば出席する、そういったルールになっているので、そうした経緯での出席となりました」

藤井キャスター
「つまり西田議員にも不記載はあったということですね?」

平本キャップ
「そうです」

■安倍派幹部・下村元文科相は18日に衆議院・政倫審に出席

藤井キャスター
「不明な点が多いのですが、次の動きはどんなことが予想されるでしょうか?」

平本キャップ
「週明け月曜日に安倍派の事務総長経験者の下村元文科相が衆議院の政倫審に出席します。安倍派幹部7人のうち6人目の出席となります。ある野党議員は『これで幹部で説明してないのは萩生田氏だけになる』と政倫審での説明を求めています。また参議院側では、野党側は引き続き残り29人の出席を求めていく方針です。14日の終了後、質問にたったある野党議員に話を聞くと、『自分に都合のいいところは堂々と話す一方で、都合の悪いことは自信満々に知りませんと繰り返す姿に腹が立った』と評価していました。政倫審の場は、不正があった経緯を自信をもって『知らない』と強弁する場ではなくて、説明できるまで調べてから弁明する場にしてほしいと思います」