「発言の重み」と「TSMC」熊本県の木村知事に直撃インタビュー
熊本県の木村敬知事がKKTの単独インタビューに応じました。テーマは「発言の重み」、そして「TSMCで翻弄される人々への対応」です。
木村知事は東京都出身の50歳。今の総務省に入ったあと、熊本県に出向し、総務部長や副知事を務め、今年4月に知事に就任しました。日々、職責の重さを実感しているといいます。
■緒方太郎キャスター
「発言の重みというところでは、 副知事から知事になられて全く違いますか?」
■木村敬知事
「全然違いますね」
象徴的だったのが、5月の水俣病の被害者団体と環境省との懇談です。環境省の職員が、団体側の発言の途中でマイクを遮断。不誠実な対応に批判が相次ぎました。
懇談の後、被害者団体側が環境省に抗議したことについて、木村知事は「事実上、つるし上げになっている」と話し、すぐに発言を訂正しましたが、波紋を広げました。
■木村敬知事
「ちょっとポロっと言ったことをすぐ訂正しても、やはりもう覆水盆に返らずというか。やはりそれは責任を持たなきゃいけない」
TSMC進出 農地の確保は?熊本への効果は?
また、菊陽町に進出した台湾の大手半導体メーカーTSMCについては。
■木村敬知事
「半導体について言えば、国外に依存してしまったことで、コロナの時に日本経済は大打撃を受けたわけでして、そのために国産化していく経済安全保障という国の政策に熊本が乗っかれたことはとてもいいことだと思っています」
一方で、3年前にTSMCが県内に進出を表明して以降、今年3月までに菊陽町をはじめ、周辺の4つの市と町では、164ヘクタールの農地が工業用地などに転用されています。東京ドームに例えると、35個分の面積です。こうした中、県は土地を求める農家に耕作放棄地などを紹介するマッチング支援を進めています。
■緒方太郎キャスター
「農地の転用だったり、地価が高騰することによって生活が脅かされるというケースも見られているかと思いますが、現状をどのように認識されていますか?」
■木村敬知事
「綺麗な大きい1枚の土地っていうのは、農地が欲しければ工業用地でも欲しいという状況になっています。熊本が発展していくためには避けて通れない課題だと思っていますので、しっかりと代替地の確保とか、代替地を整備するために、どういうふうに県が後押ししたらいいかとか、しっかり対策を講じていきたいと思います」
■緒方太郎キャスター
「マッチングもなかなか難しいですよね」
■木村敬知事
「ご要望いただいている土地の多分1割(数%)程度しか調整できていないのではないかと思います」
“農業県”のブランドが損なわれる事態は、避けたいと話す木村知事。替わりとなる農地の対象地域を広げる考えです。
さまざまな課題がある中、TSMCが熊本にもたらす効果については-。
■木村敬知事
「日本の西の端にある九州のど真ん中にある熊本の優位さというのは、ここから中国や台湾や東アジアに開かれていけば、東京よりも圧倒的に優位になると思います。TSMCという、いい意味での黒船を利用して、熊本は世界に開けていく、熊本のそれぞれの地域がその経済波及効果を実感できるように頑張っていきたいと思います」