「企業会計並みの透明度を」専門家が指摘 政治資金収支報告書巡り 富山県内で開催の自民党政治資金パーティーに関して
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け、”政治とカネ”について考えます。
収支を記載していない問題が指摘された「政治資金収支報告書」は様々な点で不透明さがぬぐえず、専門家は「企業会計と同じくらいの水準で透明度を高めるべき」と指摘しています。
政治資金の収支の公開方法は、政治資金規正法が定めています。
政治活動の公平性を確保や民主政治の健全な発達に寄与することを目的に1948年に施行された法律で、政治団体にお金のやり取りを記した「政治資金収支報告書」を提出することを義務付けています。
しかし、これまでに自民党派閥が開催した政治資金パーティー収入の一部が記載されていないことが次々と明るみになり、逮捕者も出ました。
こうしたパーティーは県内の政党支部も開き、収入を得ています。
野上浩太郎参議院議員が代表を務めていた自民党富山県支部連合会=いわゆる県連は2022年5月に開催した際、パーティー券を1人1万円で販売しました。
政治資金パーティーのうち、対価に係る収入が1000万円以上のものは「特定パーティー」とされ、収支報告書に対価の支払い者数を記載する必要があります。
また、ひとつの団体や個人から受けた20万円を超える収入についても記載する必要があります。
県連がパーティー券の販売で得た収入は7832万円。
一方、対価の支払い者数は7832人。購入した個人・団体すべてが1万円の券を1枚ずつしか購入していないことになります。
一方、収支報告書に2つの団体がそれぞれ60万円分パーティー券を購入したとする記載があるほか、「1人で複数の券を買ってもらった人もいる」と話した関係者の証言もありますが、県連はKNBの取材に対し「関係各支部に1枚1万円で販売してもらい県連でとりまとめしている。記載に齟齬(そご)はない」と回答しました。
このパーティーの入場者数は3000人とされていて、会場が満席だったことについては、「オンラインでも視聴できた」としています。
全国の道府県支部を調べると、少なくとも15の支部が同様に「すべての個人・団体が1人1枚ずつ購入」したとする記載をしていました。
しかし、一連の裏金問題が大きく取り沙汰されて以降、訂正が相次ぎ、茂木敏充衆議院議員が代表の栃木県連が、支払い者数を当初から5300人以上減らしたほか、宮崎県連は支払い者数を半分以下にしました。
理由については「一連の問題を受けて見直したところ、20枚以上を買った団体や複数枚買った個人がいたため」などとしています。
収支報告書を巡る現状について、専門家は「法律を厳しくするべき」と話します。
駒澤大学富崎隆教授
「パーティに関しては20万円以上という基準がもともと緩いことが1つ 8割くらいが出所不明ですから具体的にどういう形でパーティ券が購入されたか明確でないケースが多いのが第1の問題。最低限5万円 少なくとも通常の献金と同様の公開基準まで引き下げるべき」
収支報告書の提出先である総務省や各都道府県の選挙管理員会が行うのは「形式的なチェック」にすぎず、富崎教授は国民が点検しやすいように収支報告書のデジタル化を進めることや「監査を行う第三者機関」の設置の必要性を指摘します。
駒澤大学 富崎教授
「アメリカですと 個人名もそうだし 例えば住所も見ることができる ネットで。恒常的な第三者機関 が行っていくという仕組みを作っていくっていうのが大事かなと思います」
政治資金の使い道をオープンにしていくことが、政治の信頼回復の一歩だと思います。政治資金を巡る改革をどこまで進められるか、政治家の姿勢が問われています。