4月1日施行「改正少年法」 18、19歳が厳罰化へ…“当事者”の思いは? 実名報道も可能に
4月1日から成人年齢が18歳に引き下げられるのに合わせ、少年法も厳罰化されます。今回の法改正について、“当事者”はどのように受け止めているのでしょうか。
また、これまで少年事件で禁止されていた実名報道が、18歳と19歳については起訴された段階で解禁されることになるため、様々な意見が出ています。
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神奈川県の久里浜少年院では、強盗や傷害などの罪を犯した少年たちが共同生活を送っています。
1月、成人式が行われていました。
男性(20)
「(20歳という)一番良い年をこのように少年院で過ごすことになってしまい、自業自得の行為ですが、とても悔しく、事件に対する後悔が本当にあります」
壇上で語ったのは、事件を悔いる気持ち。続けて、まもなく変わる“ある法律”についても語りました。
男性(20)
「今年から成人は18歳になり、少年法も変わります。そのことを思うと、私は確実に今ここ(少年院)にいなかったのではないかと思います」
新しい法律では、“少年院ではなく刑務所に入っていたかもしれない”。男性がこのように話すのは、4月1日から「改正少年法」がスタートするからです。
改正少年法では、民法で成人を18歳以上と定めるのに合わせ、事件を起こしたとされる18歳以上の少年について、厳罰化します。
強盗や強制性交などの罪は、これまでは原則として大人と同じ刑事裁判を受けることはありませんでした。それが4月からは大人と同様、原則として刑事裁判で裁かれることになります。これにより、以前であれば少年院送致となっていたケースでも、これからは刑務所に入る可能性があるのです。
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刑務所と少年院、実は過ごし方に大きな違いがあります。
25日、千葉県の八街少年院で少年たちが行っていたのは、食器などを作る職業訓練です。
法務教官
「これで、さっき先生がやったみたいな感じで」
刑務所では「刑罰」として刑務作業が行われているのに対し、少年院では「保護・教育」に重点が置かれていて、職業訓練などを通じて、少年院を出た後の仕事への向き合い方などを学びます。
少年院ではなく、刑務所で刑罰を受ける18歳、19歳が増える可能性がある今回の法改正。大きな変化はほかにもあります。
これまで少年事件で禁止されていた実名報道が、18歳と19歳については、起訴された段階で解禁されるのです。
しかし、これについては様々な意見があります。
NPO法人陽和 渋谷幸靖理事長
「今、ネット社会なので、(少年の名前などは)間違いなく残ります」
少年院を出た少年らの就職支援などを行うNPO法人陽和の渋谷理事長は、インターネット上に拡散された名前などが残り続けることを危惧します。
渋谷幸靖理事長
「(実名報道によって)その子が過去の罪を償っても、なお一生残るような、そんな社会になってしまうのかなと」
また、日本弁護士連合会も実名報道について「慎重に検討するべき」としています。
一方、少年の実名報道を長年望んできた人もいます。
武るり子さんは26年前、当時16歳だった長男を他校の生徒からの暴行により亡くしました。
少年事件の被害者遺族 武るり子さん
「私は胸がえぐれたんです。ものすごい痛い、えぐられた。そんな穴があきました」
少年法では加害者が守られすぎていると感じ、法改正に向け、武さんは法務省の検討会にも参加してきました。実名報道が少年犯罪の「抑止力」につながると考えています。
武るり子さん
「こんなことをしたら名前が出て、社会的責任が降りかかるというのを社会が示すというのは、歯止めになる子も絶対いると思う」
18歳、19歳の少年の実名報道のあり方については、様々な意見があり、どのように報道するかは、各報道機関の判断に委ねられることになります。
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改正少年法が4月1日に施行されるのを受けて、日本テレビでは、事件を起こしたとされる18歳、19歳について、起訴された場合に実名で報じるかどうかは、事件の重大性などを考慮し、総合的に判断していきます。