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南海トラフ臨時情報「巨大地震注意」とは?

2022年3月13日 12:00
南海トラフ臨時情報「巨大地震注意」とは?
南海トラフの巨大地震の震度分布図/気象庁資料から
南海トラフで起きる地震についての臨時情報。その中の「巨大地震注意」という情報が発表されたらどうしたらよいのか、被災が想定される地域の住民にとっては重要な「巨大地震注意」とはどういう情報なのでしょうか?

■「巨大地震注意」とは…

「巨大地震注意」は、南海トラフの想定震源域の周辺でM(マグニチュード)7クラスの地震が発生した場合など、巨大地震発生の確率が普段より高まったときに発表されます。

ただし、もう一つランクが上の「巨大地震警戒」と比べるとそこまで差し迫った状態で発生確率が上がってはいない状況といえます。

国は住民に対し、「巨大地震注意」が発表されたら日頃からの地震への備えを再確認し、いざ地震が起きたらどう行動したら良いかチェックし直してほしいとしています。

■2日前の地震で対策を見直したことが命を守ることに…

東日本大震災が起きた3月11日の2日前の3月9日午前11時45分頃、三陸沖を震源としてM7.3の地震が発生。青森県から福島県の太平洋沿岸に津波注意報が発表され、大船渡では55㎝の津波が観測されました。

この時、多くの人が「被害が大きくなくて良かった」とほっとしたわけですが、もしももっと大きな地震が起きたらどうしようかと、あらためて見直した人たちがいました。

宮城県石巻市の門脇小学校では、3月9日の地震の時に、うまく避難が出来なかったクラスがあったことから、職員の間で次に地震が起きた際にはきちんと行動できるように確認したと言います。そして、11日の巨大地震の際に門脇小学校は津波にのまれた上に火災で炎上してしまいましたが、校内にいた小学生らは学校の裏にある日和山に全員が避難して命を守ることが出来ました。

また、宮城県山元町の中浜小学校では3月9日に発生した地震を受け、大震災の前日に避難方法と避難先は津波到達予想時間で判断するといった避難マニュアルを再確認していたといいます。

結局、校長は時間がないと判断して垂直避難を決断し、屋上の屋根裏部屋みたいな倉庫で90人の児童や避難してきた住民の命を守ることができました。

このように、いざという時に備えて避難ルールなどを点検し直したことで命を守ることができたという事例が多くあります。

3・11メモリアルネットワーク代表の武田真一さん(宮城教育大学特任教授)は、「震災後、9日の地震の時にしっかり避難について見直しておけば良かったと反省の声を口にする人たちが多くいる。9日の地震の際に次の地震が起きたら具体的にどうするか確認した小学校などではきちんと命を守ることが出来た。普段から防災の意識を持って活動をしていることが重要だ」と指摘します。

■「巨大地震注意」が出たら地震対策の見直しを…

M7クラスの地震が発生した場合に、その後周辺で巨大地震の発生に結びついたケースは、世界中で2018年までに起きた1437回の地震のうち6回に及んでいます。

つまりM7クラスの地震が南海トラフの震源域やその周辺で起きた場合、数百回に一度の割合で巨大地震が起きるということになります。

もともと、南海トラフの地震は100年から150年といった周期で発生していて、今後30年以内に地震が起きる確率は70~80%に達すると想定されています。

南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会の平田直会長は「もともと南海トラフの地震は発生確率が高いというのが基本的な認識だ。普段からしっかり対策をしていてほしい。「巨大地震注意」が発表された場合には自分が南海トラフの地震が起きる地域に生きているということを、改めて思い出してもらう機会になればよいと思う」と話しています。

「巨大地震注意」が発表された時に、もう一度確認しておきたい地震への備えとして
・家具の固定の確認
・家族との安否確認手段の確認
・避難場所や避難経路を確認
・食料や飲料水、薬など生活に必要な備蓄の確認
などがあげられています。普段からやっておきたい地震への備えを再確認して、足りないものがあれば足しておくようにしましょう。

■自治体は事前に避難する準備を進める…

一方、南海トラフ沿いの各市町村では、臨時情報が出された際に津波から命を守るため住民が事前に避難をしないといけない地域がどこになるのか指定する作業が進んでいます。

この事前避難はすでにM8クラスの大きな地震が発生して「巨大地震警戒」が発表された時には自治体が避難指示などを出す形となります。

しかし、地震が発生した際に、どのくらいの高さの津波が地震発生から何分後に襲来する予想になっているかによって各地の対応は大きく変わってきます。「巨大地震注意」の情報が出た際にも自主避難する住民がいるとみて避難所を開設する方針の自治体もあります。

被災想定地域ではこうした情報を事前にチェックして、いざという時どう行動するのか家族で話し合っておくことが大切です。