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2022年3月12日 12:00

あわや「巨大地震注意」の情報発表だった? 南海トラフの臨時情報とは…

あわや「巨大地震注意」の情報発表だった? 南海トラフの臨時情報とは…
津波の想定CG/内閣府VTRより

東日本大震災と同じような巨大地震が再び日本列島を襲うのは確実と言われています。繰り返し起きてきた南海トラフの地震では、異常を観測したときなどに「臨時情報」が発表されますが、どんなものか知っている人は少ないのが現状。その重要な情報を解説します。

■日向灘で震度5強の地震が発生…

2022年1月22日の未明、大分県と宮崎県で最大震度5強を観測した地震。震源は日向灘で深さは45キロ、地震の規模を示すマグニチュードは6.6でした。

もしもこの地震がもう少し大きくてマグニチュードが6.8だったら、気象庁は「南海トラフ地震臨時情報・調査中」という情報を出して専門家による検討会を開くことになったのです。

そして、さらなる巨大地震に注意すべきと判断されたら「南海トラフ地震臨時情報・巨大地震注意」という情報が発表されていたかもしれないのです。

■南海トラフの臨時情報とは…

日本付近ではプレートがぶつかり合っていて、静岡から紀伊半島沖を通って四国の沖合、さらに日向灘にかけ、海側のフィリピン海プレートがもぐりこんでいて陸側のユーラシアプレートを引きずり込み続けていますが、限界が来た時にこの境界面がずれて巨大地震を起こします。

この震源域全体で一気に起きるのが、南海トラフの巨大地震です。今回の日向灘の地震は想定される南海トラフ巨大地震の震源域の西のはずれ付近で起きました。

南海トラフの臨時情報は、南海トラフ沿いで異常な現象が観測され、大規模な地震と関連するかどうか調査を開始した場合や、調査結果が出た時に発表されます。

重要なのは、調査結果として大規模地震の発生可能性が相対的に高まったと判断された時に出される「巨大地震注意」と「巨大地震警戒」という2つの情報です。

この情報が発表されるのは次の3つのケースです。

(1)プレート境界で通常と異なる「ゆっくりとしたすべり」が発生した場合
   →「巨大地震注意」を発表
(2)想定震源域の中でマグニチュード7以上8未満の地震が発生した場合
   →「巨大地震注意」を発表
(3)プレート境界でマグニチュード8以上の地震が発生した場合
   →「巨大地震警戒」を発表

■「巨大地震注意」が発表される場合とは…

「巨大地震注意」はこの(1)と(2)のケースの場合に発表されます。いずれも大規模地震発生の可能性が普段よりも高まったと評価されたケースです。

プレート境界面で「ゆっくりすべり」(スロースリップ)が発生した場合については、巨大地震にむすびつく可能性があるもののそのメカニズムはまだはっきりはわかっておらず、ゆっくりすべりそのものの観測ができるようになったのもここ20年ほどと最近のことで、まだ研究途上ともいえます。

もう1つのケースが、想定震源域の中でM(マグニチュード)7クラスの地震が発生した場合、次に巨大地震が起きるかもしれないというものです。

世界では20世紀以降、2018年までにM7クラスの地震が発生した後に巨大な地震が発生したケースは1437回のうち6回発生していて、数百回に一度の割合で巨大地震が起きています。

国はこの情報が発表された場合、住民に対して日頃からの地震への備えを再確認し、いざ地震が起きたらどう行動したら良いかチェックし直してほしいとしています。

具体的には、家具の固定の確認や家族との安否確認手段の確認、それに避難場所や避難経路を確認し、備蓄の確認をすることなどをあげています。さらに、地域や個人の事情に応じては親戚・知人宅への自主避難ということもあると想定しています。

■「巨大地震警戒」とは…

「巨大地震警戒」の情報は、昭和19年と21年に発生した東南海地震や南海地震のように、想定震源域の東側半分で地震が起きるか、西側半分でM8クラスの地震が起きる、いわゆる"半割れ地震"が発生した場合に発表されます。

南海トラフの全体に対して大津波警報などが発表され、すでに大きな地震が起きた地域では深刻な被害が発生している最中に、まだ地震が起きていない地域に向けて警戒を促す情報が発表されることになります。

世界で2018年までに発生したM8クラスの地震のケースでは、103回起きたうち7回は付近で連動して大きな地震が発生しました。つまり、M8クラスの地震が発生すると、7日以内に通常の100倍程度の確率で巨大地震が起きると想定されます。

沿岸部の自治体は津波から人命を守るため、地震発生後に避難したのでは明らかに避難が間に合わない地域の住民は事前に避難するように、地域を指定して避難指示などの情報を出すことになります。

■まずは"臨時情報とは"を知ることが重要

こうした情報は、いざという時に命を守るための重要なものですが、被災が想定されている地域でも認知度が高くないのが現状です。

臨時情報についてとりまとめた中央防災会議のワーキンググループの主査を務めた福和伸夫名古屋大学教授は、「この情報の意味を知らなかったら何にもならないので、まずは南海トラフの地震ってどんな地震かを勉強するのが大切。勉強した人だけがこの臨時情報を活かすことができるんだと思う。小・中学校でしっかり学習するなどの工夫をして、行政はしっかり周知を進めていただきたい。」と話しています。

南海トラフの巨大地震の被害が想定されるエリアでは、臨時情報とはどういうものかをしっかり理解して、今から備えることが求められています。