ロシア「人道回廊」実施発表…ウクライナ当局「ニセ情報」住民に注意喚起
ロシア国防省は、日本時間の7日午後4時から一時的に戦闘を停止し、民間人を避難させる措置をとると発表しました。一方、対象となっているウクライナの都市スムイの当局は「ロシアによるニセの情報」と避難用のバスに乗らないよう注意を促したということです。
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日に日に激しさを増すウクライナへのロシアの攻撃。
首都キエフ近郊では6日も、住民が足早に避難する中、砲撃音が響き渡りました。
激しい戦火に見舞われている南東部の街、マリウポリで4日、病院に運ばれてきたのは、1歳半の男の子。砲弾の破片が頭部を直撃したといいます。小さな命は、失われ、母親が「なんで…なんで…」と泣いていました。
これまでに少なくとも351人の民間人が死亡、707人がケガをしているというウクライナ。罪のない民間人に被害が及んでいます。
ウクライナ ゼレンスキー大統領(6日)
「武器のない民間人への攻撃は許せない」
2回目の停戦協議の際、住民を避難させる、いわゆる「人道回廊」を設置することで、合意していたロシアとウクライナですが、双方の主張が食い違い、これまで2度失敗。実施には至っていません。
3度目の正直となるのでしょうか。
7日、ロシア国防省は、日本時間7日午後4時から一時的に戦闘を停止し、住民を避難させる措置をとると発表しました。
対象となるのはウクライナの首都キエフ、第二の都市ハリコフ、マリウポリ、スムイの4都市です。ただ、避難先のほとんどはロシア国内かベラルーシ国内だと、ロシア側は主張しています。
ウクライナメディアによると、対象となっているスムイの当局は「これはロシアによるニセの情報で挑発行為である」と住民に対し避難用のバスに乗らないよう注意を促したということです。
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こうした中、7日にも行われる見通しの3回目の停戦協議について、プーチン大統領は「ロシア側の要求を無条件に満たせば、対話を続ける準備はできている」と述べています。
つまり、これまでも求めてきた「ウクライナの非武装化」などを何の条件もなくのめば、対話をするということです。
協議の行方について、専門家は次のように分析します。
防衛研究所 高橋杉雄室長
「私は、進展はないと思います。勝っている中でロシア側が条件を下げる必要はないし、停戦を受け入れる必要もないわけです」
攻めているロシア側が譲歩することはないとみています。
防衛研究所 高橋杉雄室長
「ウクライナ側が事実上の降伏をする場合でしか進展はないと思う。降伏をすべきだとは思いませんし、するとも思わないので、そういった意味で進展はない」
ウクライナ中部の都市にいるという日本人の男性は、まだ、住む場所に攻撃の手は及んでいませんが、日に日にロシア軍の影を感じているといいます。
ウクライナで生活する日本人男性
「いつも訪れるスーパーマーケットに入ると、陳列棚に張り紙があって、少し様子が変わっていました」
スーパーの内部には、買い物の数を制限する張り紙がありました。
ウクライナで生活する日本人男性
「こういった状況がさらに悪化して、ロシア軍が進んでくるという状況になった際には、国外の退避も一つの案として、私どもも考えています」
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連日、国境には、多くの人が避難し、たどり着いています。
6日、ポーランド側の国境近くにあるプシェミシル駅は、ポーランド国内へ避難する人でごった返し、長時間の移動でぐったりと疲れている人の姿も見られました。
ウクライナから逃れてきた家族
「爆撃があり子どもが泣いて、おびえて大変でした。自分の国を離れたくない。難民になりたくない」
国連難民高等弁務官事務所(=UNHCR)によると、ウクライナから避難し、難民となった人は侵攻開始から10日間で150万人以上にのぼっています。
母国から逃げなければならない状況に、ウクライナ国内や世界中で広がっている反戦デモ。
6日、ウクライナのノバカホフカでは集会が実施され、「みんな一緒だと私たちは強い!」との演説がされていました。
6日、セルビアの首都ベオグラードでは、「戦争反対!戦争反対!」とコールが上がり、セルビア在住のロシア人男性が母国・ロシアのパスポートを燃やす場面も見られました。
セルビア在住ロシア人
「ロシアの国民でいたくないのです。責任を負いたくないし、恥をかきたくない」
こうした反発はロシア国内でも広がっています。ロシアの独立系人権団体によると、これまでデモに参加した4900人以上が拘束されているということで、当局は国内での締め付けを強めています。
(3月7日午後6時ごろ放送『news every.』より)。