【解説】異常震域の地震とは― 御嶽山・阿蘇山では噴火警戒レベル引き上げも
ここ最近の気になる地震活動について掘り下げる「週刊地震ニュース」。
2月21日から27日まで1週間におきた震度1以上の地震は40回発生。
▼21日午前10時12分頃
茨城県沖を震源とするマグニチュード4.4の地震で東海村で震度3を観測。
▼26日は午前8時32分頃
福島県沖を震源とするマグニチュード4.5の地震で双葉町と浪江町で震度3。
▼21日午前7時過ぎ
静岡県の遠州灘でおきたマグニチュード5の地震では震源に近い東海地方ではなく、少し離れた関東や東北で揺れを観測しました。
この地震の震源の深さは356キロ。こうした地震では震源の近くで強く揺れるのではなく、揺れが伝わりやすいプレートに沿って伝わり遠くの場所で大きな揺れに。
これを異常震域と言います。
日本の周辺では日本海や小笠原諸島、そして遠州灘などの深い場所で地震がおきると異常震域になりやすいことが分かっています。
先週は御嶽山と熊本県の阿蘇山で噴火警戒レベルの引き上げがありました。5段階の噴火警戒レベルで御嶽山は1から2に、阿蘇山は2から3となりました。
今回、御嶽山が引き上げとなった2は、「火口周辺規制」となります。
「火口周辺規制」は、噴火の可能性があるため御嶽山では火口から約1キロの範囲の立ち入りが規制されます。
阿蘇山ではレベル3の「入山規制」に。
中岳第一火口から約2キロの範囲で火砕流や大きな噴石が飛んでくるような噴火の恐れがあるということで立ち入りが規制されています。
今回は噴火前に警戒レベル引き上げになりましたが両方の山とも火山性微動がレベル引き上げの基準を超えて発生してからということです。
「火山性微動とは火山の地下で、マグマや熱水、火山ガスが動くときに生じるもの」一般的に地震はプレートや活断層が動くときに発生します。
一方で火山性の「地震」や「微動」は原因が地下のマグマであったり、熱水や火山ガスが原因です。
「微動」は、小刻みに揺れが続けて観測されるのが特徴。
一般的に火山性微動が観測されると火山活動が高まっていると考えられます。噴火に警戒が必要になります。
ただ火山は山ごとに特徴があり、微動がほとんど観測されないまま急に噴火に至ったりすることもあり、噴火前にみられる現象は異なりますので注意が必要です。
これから季節が進むと、春山シーズンに入り、登山に出かける人も増えてきます。
国内には火山が人気の目玉となっている観光地もたくさんあります。
そうした火山に足を伸ばす際は、その時の山の警戒レベルや状態がどうなのか?地震や火山性微動が増えていないかなど、気象庁HPの登山者向けのページなどで確認するようにしてください。