【解説】沖縄・宮古島近海で数年毎に起きる「繰り返し地震」とは? 東北・関東でも発生
8月14日から20日までの期間、震度1以上の地震は21回ありました。このうち、震度3以上は4回でした。
▼19日午前3時33分ごろ、北海道新冠町や浦河町などで震度3を観測する地震がありました。震源は十勝地方南部、マグニチュードは5.1、震源の深さは51キロでした。
▼19日午後2時7分ごろ、福井県大野市・勝山市、岐阜県高山市で震度3の地震がありました。震源は福井県嶺北で、マグニチュードは4.3、震源の深さは10キロでした。
▼19日午後11時21分ごろ、北海道根室市で震度3を観測する地震がありました。震源は国後島付近で、マグニチュードは4.5、震源の深さは76キロでした。
16日午前2時7分ごろ、沖縄県の宮古島近海を震源とする地震がありました。マグニチュードは4.6、震源の深さは46キロで、宮古島市で震度3を観測しました。実は、宮古島近海では「繰り返し地震」という現象がたびたび起きています。
「繰り返し地震」とは――
▼発生場所や地震の規模(マグニチュード)がほぼ同じ
▼一定間隔で繰り返し発生
▼観測される地震の波形もよく似ている
▼「相似地震」や「固有地震」とも呼ばれる
1997年10月から今年8月20日までに発生したM2.0以上の地震を示した図では、今月16日に発生した地震(M4.6)の震源周辺で、過去にも同程度のマグニチュードの地震(赤丸)が起きています。
縦軸がマグニチュード、横軸が時間を示すグラフでは、おおよそ2年から3年の間隔でマグニチュード4.6程度の地震が繰り返し起きていることがわかります。
これまで宮古島近海の×印を震源として、以下のような地震が発生しています。
▼2002年6月5日 マグニチュード5.2の地震
▼2007年9月22日 マグニチュード5.1の地震
▼2014年9月18日 マグニチュード5.2の地震
▼2020年5月27日 マグニチュード5.2の地震
このようにほぼ同じ場所で、マグニチュード5程度の地震が5年から7年という一定間隔で発生しています。
沖縄気象台によりますと、今月16日に発生したマグニチュード4.6の地震は、繰り返し地震のひとつかはどうかまだ判断できず、詳しく調べているということです。
■宮古島近海の地震メカニズム
宮古島近海の地震活動は、大きく分けて3つあります。
①陸のプレート「ユーラシアプレート」の内部で発生する深さ30キロより浅い地震
②陸のプレートと、その下に沈み込む海のプレート「フィリピン海プレート」の境界付近で発生する地震
③「フィリピン海プレート」の内部で発生する地震
■「繰り返し地震」は沖縄だけでなく、東北・関東でも
「繰り返し地震」が確認されている場所は、沖縄地方では、宮古島近海、宮古島南方沖、沖縄本島近海・沖永良部島の西方沖、沖縄本島近海・国頭村東方沖です(宮古島南方沖は、サンプル数が少ないため規則的に発生しているか不明)。さらに、東北地方や関東地方の海域でも確認されています。
繰り返し地震の発生場所付近では、フィリピン海プレートや太平洋プレートが陸のプレートの下に沈み込んでいます。プレート境界でプレート同士のくっつき=固着の強いところを「アスペリティ」と呼んでいます。このアスペリティでプレート面が一定期間固着し、エネルギーを溜め込んだ後、耐えきれなくなった時に急激なすべりを起こしてエネルギーを解放します。これが地震であり、こういった地震を繰り返していると考えられています。
繰り返し地震が発生する場所では、次に起きる地震の発生時期を予測する試みも行われています。
気象庁は、宮古島近海で起きる繰り返し地震をマグニチュードなどでグループ分けしています。たとえば、マグニチュード5.1程度のグループでは、1964年以降、繰り返し地震を10回観測、発生間隔は6.0年、直近で観測されたのは2020年5月27日となっています。こうしたことから、次の地震が70パーセントの確率で発生すると予測される期間は、「2025年9月~2027年2月」としています。(※2020年5月27日時点資料より)
■繰り返し地震で、長期予測の信頼性向上につながる可能性
地震の専門家で環境防災総合政策研究機構の草野富二雄さんは「大地震の発生間隔は数十年と非常に長いものの、小規模な地震の繰り返し地震は発生間隔が短いため、数多く観測することができる。このため、地震発生の長期予測の信頼性の評価などに役立つことが期待できるのではないか」と話しています。
繰り返し地震が観測されている地域では、大きな地震は発生しないということではありません。大きな揺れにも注意、備えが必要です。